F5ネットワークスジャパンは2月4日、東京都内でプライベートカンファレンス「F5 CUSTOMER CONFERENCE 2010」を開催した。基調講演に米F5 Networksの上級副社長 ダン・マット氏と副社長 エリック・ギーサ氏が登壇し、同社の戦略および最新製品について講演を行ったので、紹介しよう。
仮想サーバの収容率向上、VM移送、ファイル仮想化を実現
初めに、マーケティング兼ビジネスデベロップメント担当上級副社長を務めるダン・マット氏が講演を行った。
同氏は、「これまで企業のIT投資はビジネスの変革のためには20%しか使われず、80%は既存のシステムの保守と維持に使われていた。この割合を逆転するには、ダイナミックなインフラストラクチャが不可欠であり、そのカギとなる技術が"仮想化"だ」と述べた。
同社では仮想化に関するさまざまな機能・メリットを提供しているが、それらのうち特に有意義な機能として、「仮想サーバの収容率の向上」「データセンター間およびクラウド間に仮想マシンを移送」「ファイルの仮想化」がある。
例えば、ロードバランサ「BIG-IP Global Traffic Manager」とアプリケーション・トラフィック管理システム「BIG-IP Local Traffic Manager」により、ヴイエムウェアのvMotionを用いたデータセンター間およびクラウド間のアプリケーションのライブ移送が可能だ。
ダイナミックなインフラを実現する3つの新製品
続いて、プロダクトマネジメント兼プロダクトマーケティング担当副社長を務めるエリック・ギーサ氏が、今年発表した3つの新製品について説明した。3製品はWANの最適化を実現する。
「ビジネスを成長に導くには再利用可能で柔軟なアーキテクチャが必要であり、当社はそのためにソリューションのアーキテクチャを用意している。このアーキテクチャはコスト効率が高く、また、製品の導入に必要な期間を減らすことが可能だ」
新製品の1つである「BIG-IP Edge Gateway」はアプリケーション・デリバリ・コントローラだ。同製品はデータセンターへのアクセスを統合し、通信を最適化することで、リモートアクセスにおけるパフォーマンスとコストの課題を解決する。例えば、ユーザー数が2万6,000の場合、ユーザー1人当たりのコストは1,000円だ。
また同製品を用いると、リモートユーザーは常に接続した状態でアプリケーションが利用できるので、接続ごとにアプリケーションを再開しないで済むほか、クライアントソフトウェアは無償で提供される。
2つ目の新製品である「BIG-IP Access Policy Manager」はアクセス制御と認証を行う。従来の認証基盤の実現方式は「アプリケーションにコーディング」「サーバにエージェントを導入」「専用アクセスプロキシが必要」の3タイプに分けられるが、いずれもコストや管理性などにおいて課題がある。対する同製品は、認証サービスの統合と高速なセキュリティでこれらの方式の課題を解決している。
3つ目の新製品である「BIG-IP WAN Optimization Module」は、アダプティブ圧縮と重複排除技術を用いてトラフィック/帯域幅を最適化し、ネットワーク上のデータ転送の高速化を実現することで、帯域幅のコストの削減とディザスタリカバリの運用を改善する。
BIG-IP Edge Gatewayを導入したインドのある企業はユーザーエクスピリエンスと顧客満足度の双方を向上することができたという。
クラウドが本格導入され始めると、ますますWANの速度やパフォーマンスに求められる要件のレベルも高くなるはずだ。その際、同社の製品は最適な選択肢の1つとなるだろう。