米Googleは9日(現地時間)、友だちや家族の間でアクティビティをフォローしあうソーシャルサービス「Buzz」を発表した。
ソーシャルネットワーキングサービスやTwitterなどを長く利用していると、オンライン上の友だちやフォローしている人が増えていき、毎日大量のメッセージや情報が流れ込んでくるようになる。次第に、親しい友だちや家族によるアップデートやメッセージに気づかなかったり、また自分にとって本当に役立つ情報を掘り出せないという問題が深刻になる。Google Buzzは、そんな肥大化したオンラインの友だち関係をスリム化し、不要なメッセージや情報が入り込まないようにする。
BuzzはGmailに統合されており、BuzzでのやりとりはGmailの受信トレイに集約される。最初にGmailでBuzzをクリックすると、Gmailにおいて電子メールやチャットで頻繁にやりとりしている人たちのフォローが自動的に始まる。Gmail内のソーシャルネットワークであるのがBuzzの特徴だ。「友だちの友だち」や「フォローボタンを押した」という希薄な関係ではなく、実際に電子メールやチャットでやりとりする親しい関係同士のソーシャルネットワークになる。
Buzzはオープンプロトコルを土台に構築されている。API公開を通じて他のサービスと連係し、現時点でTwitterに対応している。TwitterでのツイートはTwitterのフォロワーのほか、Buzzを通じてBuzz仲間にも伝えられる。だが自分がTwitterでフォローしているつぶやきが全てBuzzに流れ込んでくることはない。ここに既存のソーシャルネットワークに対して、より親しい間柄のネットワークであるBuzzの存在意義がある。
柔軟性もあり、Buzzへの書き込みはプライベートなBuzzネットワークだけでなく、公開することも可能だ。Google Profileページを作成していれば、公開ポストはProfileページにも表示される。書き込みにはコメントを付けられ、個人同士の会話も可能。Buzzの場合、ネットワークが小さくなってしまい新しい友だちや情報に出会いにくいというデメリットがあるが、その点は「Recommended Buzz」で解決する。これはユーザーが直接フォローしていないものの、友だちの間で話題になったり、ユーザーが関心を持ちそうな人物のポストをお勧めする機能だ。
Twitterのほかにも、現時点でPicasa、Flickr、Google Readerと連係しており、写真やビデオへのリンクを添付したリッチなメッセージをやりとりできる。たとえばリンク先のWebサイトの写真を付けたり、YouTubeビデオのインライン再生などが可能だ。
Googleは、モバイル版の「Google Buzz for mobile」も用意している。Android携帯またはiPhoneで、Webブラウザからbuzz.google.comにアクセス する。Googleのロケーションサービスと連係し、Buzzの投稿に自分のロケーションのマップを埋め込んだり、Google Maps for mobileでBuzzレイヤーを使って周囲のBuzzポストをマップ上に表示できるなど、モバイル版では位置データが重要な役割を担う。またモバイル版のGoogle.comでは、Googleアカウントにサインインすると右上にBuzzアイコンが表示され、そこからワンタップでBuzzへの投稿を行える。
写真や動画の共有など、BuzzにはGoogleが開発中のコミュニケーション・プラットフォーム「Wave」を思わせる機能が含まれる。バイスプレジデントのBradley Horowitz氏は「Buzzの多くの機能がWaveの刺激を受けた」と述べており、BuzzがGmailとWaveを結ぶサービスになる可能性もある。Googleは9日からBuzz提供を段階的に拡大し始めており、数日中にすべてのGmailユーザーが利用可能になるという。Horowitz氏はまた、契約が増加しているエンタープライズや学校向けにもBuzzを提供する計画を明らかにした。