代表執行役 副社長 CFOの大根田信行氏 |
ソニーは2月4日、2009年度第3四半期の連結決算を発表した。
それによると、2009年度第3四半期の連結売上高は、前年同期比3.9%増の2兆2379億円。投資損益/構造改革費用を除いた営業利益は1461億円、投資損益/構造改革費用を反映した営業利益は1655億円という結果だった。
第3四半期は、広告代理店事業などが該当する「その他」を除き、すべてのセグメントで黒字を達成。想定を大きく上回ったことから通期営業損益見通しを上方修正している。
特に好調だったのが、液晶テレビ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ゲーム向けシステムLSIなどを担当するコンスーマープロダクツ&デバイス(以下、CPD)分野。売上高は前年同期比10.7%減の9698億円だったものの、販売費・一般管理費の減少、売上原価率の改善に加えて、為替の影響もプラスに働き、営業利益は前年同期比693億円改善の494億円となった。
代表執行役 副社長 CFOの大根田信行氏は、予想を上回った要因について「液晶テレビ『BLAVIA』が値を下げなかったことなどが大きい」とコメント。その影響が100億円~200億円程度と見ていることを説明した。
また、課題としては、ゲームやPCなどを扱うネットワークプロダクツ&サービス(以下、NPS)分野が挙げられた。第3四半期は、売上高が1.9%増の6061億円、営業利益が253億円改善の194億円という結果で、「VAIO」の売上台数が全地域で増加したが、逆ざや状態の「PlayStation 3」などが足をひっぱっている。通期では、NPS全体で50億円の営業損失を見込んでいる。
大根田氏は、PlayStation 3に関して、「現在15%程度の原価超過を6.5%程度に抑えたい」と説明。引き続きコスト改善を進めていくことを強調した。また、PlayStation 3に関しては、3月に発売予定だった「グランツーリスモ 5」の発売が延期されたことなども通期決算に悪影響を及ぼす要因の1つとして見ているという。
加えて、ソニーが期待をかけているNPS分野のプロダクトの1つとして、電子ブックリーダーの「リブリエ」が挙げられた。電子ブックリーダーの主な製品は現在、Kindleとリブリエの2つで、グローバルの需要は年間400~500万台程度であるとの見解を紹介。そのうえで、今年中に販売台数100万台突破を期待しており、来年、再来年には2倍、3倍の販売を見込んでいることを明かした。
なお、米Appleより先日発表された「iPad」について大根田氏は、「電子ブックリーダーにももちろん影響があるだろうが、どちらかというと電子ブックリーダーとネットブックの間に新たな市場を作るというような動き」ととらえており、リブリエの販売に深刻な影響を及ぼすことはないのでは、との私見を述べた。
年間3300億円という目標で進めているコスト改善については、予定通りに進捗していることを発表。サプライヤーの数を1200社に絞り、調達コスト20%削減を目標に据えているが、こちらは達成の目処がついているという。また、2008年12月時点で57拠点あった製造事業所を10%減少させることを目標にしていたが、2009年度末で46拠点にまで絞られる見込みで、予定を上回るペースで進んでいることが示された。
通期の業績見通しは以下のとおり。営業損失300億円を見込んでいるが、「社内ではブレイクイーブンを目標に頑張っている」(大根田氏)という