米Touchcoのサイトでは業務終了のお知らせが

米Amazon.comがタッチスクリーン技術に特化したベンチャー企業を買収していることが、米New York Timesの2月3日(現地時間)の報道でわかった。NYTによれば、同社はAmazon.comのKindleチームに編成されることになるという。

その企業とは米Touchco。米ニューヨーク大学のMedia Research Labを拠点にしている。だが同社Webサイトにアクセスすると、すでに業務を終了した旨のメッセージが表示されるだけだ。NYTの報道によれば、Touchcoのメンバーは6名で、いまだ商用製品はリリースしていない。純粋な技術開発ベンチャーであり、Kindleチームへの統合後は米カリフォルニア州クパチーノにあるLab126へと拠点を移すことになるという。

Touchcoの開発する技術は抵抗感圧式マルチタッチセンサーで、透明でさまざまなディスプレイと組み合わせることが可能だ。またコストも1平方フィート(約929平方センチメートル)あたり10ドル程度と、静電容量式のiPhoneやiPadに使われているタイプのセンサーに比べて安い。またTouchcoのマルチタッチ技術の特徴として、同時タッチポイントを無制限に認識できることが挙げられる。つまり、1人以上の人間を同時にタッチセンサーが認識できるということだ。

問題は、Amazon.comがTouchcoの買収で何を目指しているかだ。これまで、Touchcoはフルカラーの液晶ディスプレイをターゲットに技術開発を行ってきている。これがKindleチームに加わったということは、フルカラーのマルチタッチセンサーを内蔵したKindleが近い将来に登場する可能性が高いというわけだ。技術デモの一端はNYTのBlog投稿でも確認できる。E-Inkディスプレイのメリットが語られることが多いKindleだが、実際にはKidleでは実現できないiPadのようなデバイスでの高速レスポンスやアニメーションなども魅力的であり、将来的に登場するスーパーKindleは、よりiPadに近いタイプの製品となるかもしれない。

またこれと同時に、興味深い別のニュースが飛び込んできている。米ChannelWebは2月3日(現地時間)、米MicrosoftでWindowsプラットフォーム戦略部門コーポレートバイスプレジデントを務めていたMike Nash氏が数週間内にも同社を去る予定だと報じている。Nash氏は19年来の古株で、同社のWindowsからInternet Explorerまで、さまざまな中核製品の開発に携わっている。その同氏がMicrosoftを去って行く先が、なんとAmazon.comのKindleチームだというのだ。同氏のKindleチームでの役職は不明だが、こうした業界プロフェッショナルらを急速に集めていることで、Amazon.comがKindleに相当のテコ入れを模索している様子がうかがえる。