リコーは、2009年度第3四半期連結決算を発表した。

売上高は前年同期比2.0%減の4859億円、営業利益は11,4%増の237億円、税引前利益は228億円増の240億円、当期純利益は174億円増の126億円となった。

2009年度第3四半期の連結決算概要

リコー取締役専務執行役員・三浦善司氏

リコー取締役専務執行役員・三浦善司氏は、「市場環境を依然として厳しく、売上高は計画よりも下ぶれているが、一部地域では回復の兆しも見られている。一方で、リコーでは箱売りからの脱却した目指し、ITサービスやソリューションビジネスに力を注いでいるが、この分野は引き続き高い成長を維持し、経費削減や構造改革の成果、原材料費削減などは計画以上に進捗しており、営業利益では、3四半期連続で前四半期に比べて増益を達成した。収益性を重視した取り組みを進めている」と総括した。

地域別では、海外売上高は前年並の2811億円、国内売上高は7.3%減の2048億円。海外売上高は為替の影響を除くと、前年同期比2.2%増になるという。

事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が、前年同期比2.9%減の4309億円、営業利益は0.1%増の414億円。そのうち、画像ソリューションの売上高は前年同期比4.1%減の3681億円、ネットワークシステムソリューションが4.6%増の627億円。

地域別、製品別の売上高

画像ソリューションでは、前年度に実施した米州におけるIKON買収による販売体制の強化などが寄与し、PPCやMFPを中心に販売が増加したものの、米州地域以外では景気低迷、円高の影響により減少したという。MFPのハード全体の売上高は前年同期比11%減となり、全世界規模では厳しい結果となった。

また、ネットワークシステムソリューションは米国での販売体制の強化が寄与して、プラス成長になったと説明した。

画像&ソリシューション分野においては、昨年11月に世界初のバイオマストナーを搭載したMFPのMP6101GPを投入したことや、日本市場向けに小規模オフィス対応のMC C1800の投入、Google Appsに対応したクラウド型MFPウィジェットソリューション「App 2 Me」を投入していることなどに触れたほか、今年1月には、米州向けにプロダクションプリンティング分野での新製品「C720」を投入したことで、「第3四半期には、プロダクションプリンティング分野における新製品がなかったが、第4四半期以降、この分野での成長を見込みたい」とした。

産業分野の売上高は2.9%減の251億円、営業損失は前年同期に比べて15億円回復したものの、マイナス2億円の赤字。半導体事業、サーマル事業および電装ユニット事業の売上高が国内外で前年に比べて減少した。

その他分野の売上高は7.3%減の298億円、営業損失は前年同期から2億円回復したものの、8億円の赤字となった。デジタルカメラの売り上げが国内外ともに減少したことが影響したという。

デジタルカメラでは、レンズユニット交換式コンパクト機の「GXR」を投入したが、「今期は開発費がかかっており、赤字となった。だが、これは期待の製品であり、弊社社長の近藤もなんとかしたいといっている。レンズと画像素子を一体化することで、これを丸ごと交換することができる形状となっており、面白いアイデアの製品。撮影場面ごとにレンズを変えることで、最適な撮影ができるほか、将来的にはこの部分にプロジェクターやハードディスク、プリンターなどに付け替えることで、幅広い用途に使えるようになる。今後、様々な形で広げていきたい」などと語った。

なお、同社では、第3四半期の業績を受けて、2009年度の業績見通しを修正した。

売上高は10月公表値に比べて650億円減となる2兆円と下方修正する一方、営業利益は50億円増の450億円、税引前利益は50億円増の350億円、当期純利益は50億円増の150億円とした。

売上高650億円減の内訳は、国内で100億円減、海外で550億円減としている。

修正後の2009年度通期業績見通し

今後の重点分野については、「プロダクションプリンティング事業の拡大、ITサービス/ソリューションの拡大、IKONの買収効果、構造改革成果の刈り取りに取り組む」とした。