エルピーダメモリは1月28日、2010年3月期第3四半期(2009年10月から12月)の決算概要を発表した。同3カ月間の売上高は前年同期比144.5%増の1,510億円、売上総利益は前年同期の429億円の損失から472億円の黒字に転換を果たし、営業損益も同579億円の損失から304億円の黒字に、純損益も同723億円の損失から211億円の黒字へと転換を果たした。

2010年3月期第3四半期の業績

こうした業績の回復について、ノートPC、スマートフォン、デジタルテレビなどの出荷数が前四半期に続き増加。特にPC市場においては米国やアジアを中心にノートPCの新規購入や買い替え需要により、出荷台数が前四半期比で2桁%台の増加となっており、DRAMの需要も高まった結果、供給不足感から1GビットのDDR2/DDR3がスポット価格、コントラクト(大口)価格ともに前四半期比で上昇。1月27日段階で1GビットDDR3(1333Mbps)品のスポット価格が2.89ドル、1GビットDDR2(800Mbps)品のスポット価格が2.32ドル、1GビットDDR3(1333Mbps)品のコントラクト価格が2.38ドルとなっており、同社としても平均販売単価は前四半期比で30%増を達成、前年同期比では60%増となったとしている。

2009年から2010年初頭までののDRAM価格推移

この結果、第3四半期の業績は過去最高の売上高となり営業利益も過去最高を塗り替えた。なお、第1四半期から第3四半期までの累計業績は売上高が前年同期比12.2%増の3,194億3,100万円、営業損益は前年同期の979億9,800万円の損失から109億700万円の損失へ、純損益も同1,179億9,100万円の損失から305億6,500万円の損失へと赤字幅が縮小している。

同社では、利益回復の要因として市場の回復もあるが、台湾Rexchip Electronicsの利益構造が他の台湾DRAMメーカーに比べ高いことも要因として挙げている。現在は65nm SプロセスでのDRAM製造をRexchipでは行っているが、今後は第1四半期内により製造コストを下げることに成功した65nm XSプロセスでの量産を開始する計画しているほか、それと並行して2010年第2四半期中に40nmプロセスでの量産開始を計画。2010年までにすべてのDRAMを40nmプロセス化するとしている。

Rexchipと他の台湾メーカーとの業績比較

40nmプロセスDRAMの立ち上げスケジュール

また、エルピーダは、今月頭にRexchip内にR&Dセンターを設立することを明らかにしているが、こちらでは4F2メモリセルを適用した40nmプロセスの前工程技術を開発し、ビジネスパートナーであるPowerchip Semiconductor(PSC)のほか、Winbond ElectronicsやProMOS Technologiesにも同センターにおいてプロセスの移管を進めるとしている。初年度はRexchip、エルピーダ双方からのエンジニアに新規採用の人員を加え60~80名構成で開発を行う予定。開発費は初年度として3,000万~5,000万ドルが見込まれている。

なお、ProMOSは2010年7月までに65nm XSプロセスを移管。同月からのPC向けDRAMの量産開始が計画されているほか、2010年第1四半期中よりWinbondがエルピーダ向けグラフィックスDRAMの量産を開始する予定となっている。

台湾メーカーとエルピーダの提携関係