NECエレクトロニクスは1月27日、同社の2010年3月期第3四半期(2009年10月~12月)の決算概要を発表した。

売上高は前年同期比8.3%減の1,178億7,300万円となるも、営業損失は前年同期の160億1,300万円から93億2,900万円に、経常損失は同188億100万円から113億2,100万円に、純損失は同201億9,900万円から142億6,800万円にそれぞれ赤字幅を縮小した。また、キャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローが前四半期比で21億円改善し131億円となったこともあり、フリーキャッシュフローも49億円と前四半期に続き黒字を維持した。

第3四半期の業績

キャッシュフローの概要

NECエレクトロニクス代表取締役社長の山口純史氏

同社代表取締役社長の山口純史氏は、「前年同期と比べ、営業損失はまだあるものの大きく改善することができた」とし、下期のフリーキャッシュフロー黒字維持に向け、「投資キャッシュフローを抑制し、収支の改善をさらに進める」と説明する。

同四半期の売上高をデバイス、製品分野、地域別に見ると、デバイス別ではSoCが前四半期比で16%減の353億円、マイコンが同14%増の412億円、ディスクリートが同1%増の367億円となっており、全体では為替差損の約25億円を含め、前四半期比約1%減という結果となった。また、地域別では、日本地域が同20.7%減の641億円、アジアが同11.1%増の293億円、欧州が同21.3%増の160億円、北米が同4.3%増の85億円となっており、日本地域の1人負け状態となっている。この大きな理由として、山口氏は「日本では自動車向けマイコンの売り上げが拡大したものの、ゲーム機向け民生機器向けが前年同期で154億円(47.6%)減少したほか、携帯電話端末向け半導体の売上減などが大きな要因となった」としている。

2010年3月期第3四半期の半導体別売上高

一方で自動車関連を中心とした「自動車および産業機器分野」は自動車向けマイコンの売上高がアジアおよび欧州で増加したこともあり前年同期比31.2%増となる268億円となっている。

第4四半期の見通しについては、1月現在の時点で受注は中国でのマイコン需要を中心に堅調に推移しており、国内でのデジタル家電などの需要回復感もあることから、前四半期比5%強の売上高1200億円を見込む。

第4四半期の半導体売上高の見通し

収益改善としても、マイコン生産の拠点である九州の200mmラインの150nmプロセス比率の引き上げや、後工程のマレーシアを中心とした海外比率の引き上げに加え、山形の300mmラインの稼働率が40nm/55nmプロセス品を中心に第3四半期の55%程度から75%程度まで改善する見込みで、「投入ベースでフル稼働の見込み。稼働率改善によって、売り上げ以上に利益構造の改善が期待できる」(同)としている。

マイコンの生産能力増強と300mmラインの稼働率改善により収益改善を狙う

なお、通期業績見通しそのものは前回発表時からの変更は行われていない。