エーピーシー・ジャパン(以下、APCジャパン)は1月26日、データセンターやマシンルームの物理インフラを統合管理する同社のソフトウェア製品群を、7つの製品で構成される「InfraStruxure Management Software」として一新、新製品および既存製品の機能強化を発表した。クラウドコンピューティングの普及で、省電力化や運用効率化への需要が高まるデータセンター市場において、シェア拡大を狙う。

InfraStruxure Management Softwareはデータセンターに設置されているIT機器の電源や冷却システム、ラック、セキュリティ、空調などを統合管理する製品群で、今回新たに追加された2つの新製品と、5つのバージョンアップされた既存製品で構成される。各製品の概要は以下の通り。

  • InfraStruxure Central v6.0 … ネットワークで接続されているデータセンター内の物理インフラ機器を集約/管理する。ソフトウェア単体のほか、アプライアンスサーバもあり。SNMPにより各機器の稼働管理を行い、リアルタイムなアラート通知も可能。
  • **InfraStruxure Operataions … 新製品。IT機器や物理インフラの監視、PUE(電力使用効率)の自動測定、分散データセンターの国/部屋単位でのステータス参照、エネルギー効率などを、データセンターやマシンルームのレイアウトを再現したレイアウト画面で可視化する。
  • InfraStruxure Capacity v6.0 … IT機器や物理インフラの仕様をもとに、電力や冷却容量のシミュレーション、空調停止時などにおけるビジネスインパクトを分析するプランニングソフトウェア。
  • InfraStruxure Change v6.0 …物理インフラの現状ワークフローのサポート、IT機器の移動や変更に伴う作業のスケジューリング/進捗報告などを行う。
  • InfraStruxure Energy Efficiency … 新製品。冷房や照明などビル管理下の機器を含むPUEを可視化。IT機器の稼働に要するエネルギーを詳細に分析し、エネルギー使用の効率化を促進。
  • InfraStruxure Energy Cost … 部屋/ラック単位での電力消費量を表示し、電力コストを算出する。
  • InfraStruxure Mobile … 通信機能付きの専用ハンドヘルドデバイス(SymbolのWindows Mobile端末)によるリモート管理。アラートの受信、作業変更指示書の確認/変更、バーコード資産管理などが可能。

同製品群の特徴は、単体で導入した場合でも、サーバ台数の急激な増加などにも柔軟に応じられる構成となっている点だ。また、Webアプリケーション上で操作できるGUIが非常にわかりやすく、データセンターのレイアウトや電力使用状況などがひとめでわかるようになっている。その他、データセンター設計段階でのアドバイス機能、リアルタイムなアラート、詳細な分析レポートなど、データセンター運営に必要とされる機能が大幅に強化されている。

InfraStruxure Management Softwareを含むAPCジャパンのデータセンターソリューションは、すでにマイクロソフト 大手町テクノロジーセンターなど、大手のデータセンターでの導入実績をもっている。

InfraStruxure Centralの動作画面。画面左上側にエリアごとのデバイスグループが、右側にIT機器の詳細が表示される。下にはデバイスグループ内のアクティブなアラート(電源に障害発生、温度が高すぎ、など)が表示されている

アラートを出しているデバイスセンサーの詳細なレポートも即時表示可能。この画面は湿度異常でしきい値を超えたデバイス3機を時間を追ってレポーティングしている

InfraStruxure Centralは監視カメラなどとの連携も可能。アラートが出ている場所は黄色く表示されている

使用中のIT機器のUPSバッテリ使用年数を表示させているところ。IT資産の計画を立てるのにも役立つ

InfraStruxure Operationsでサーバルームを表示させたところ。「R」「U」などの記号は「ラック」「UPS」などの位置をあらわす。異常が発生した部分は赤く表示され、アラートの詳細が下部に表示される

左の画面で、赤いアラートが出たラックを詳細表示させたところ。デバイスごとの詳しい状況がリアルタイムでわかる。マウスオーバーすると、各デバイスの情報が表示される