リコーは1月26日、同社のデジタル複合機(MFP)「imagio MP」シリーズをクラウド環境で活用することが可能な「App2Me」ウィジェットの第1弾ソリューションの提供を開始したことを発表した。
これによりユーザーは、リコー内のApp2Meサイトに置かれたウィジェットギャラリーより、自分の使いたいウィジェットをダウンロードして起動させるだけで、ウィジェットの機能とMFPを連動させることが可能となる。なおウィジェットを動作させるためのエンジンは「Yahoo! ウィジェットエンジン」もしくは「Googleデスクトップ」となっている。
対応MFPは「imagio MP C5000/C4000/C3300/C2800シリーズ」で、「2007年秋以降のモデルに対して順次対応を図っていく予定」(リコー グローバルマーケティング本部 商品マーケティングセンター 第二商品戦略室 室長の武田健一氏)とする。なお、対象となるプリンタ側には拡張オプション「imagio VMカード」(標準価格2万円。税別)を設置する必要があるので注意が必要だ。
今回第1弾として発表されたのは無償で提供される6つのウィジェット。この内「Scan2Me plus」「Printin'4Me plus」「ecoフレンドリープリント」「中とじ製本プリント」「プリンターモニター」の5つがすでに提供を開始しており、残る「ONE Sheet」が春頃の提供を予定している。
各ウィジェットを簡単に説明すると、"Scan2Me plus"はスキャナ機能でウィジェット上でファイル名やカラー/モノクロ、解像度などを設定し、MFPにてスキャナを起動させると、自動的にPDFが自分のデスクトップに生成されるというもの。自分のPCとプリンタ間の設定は不要で、ウィジェットを管理する管理ソフト「App2Me Manager」に含まれる仮想プリンタドライバを活用することで「同一ネットワーク上にあるMFPと自動でウィジェットのアクションをやり取りし、好きな(空いてる)プリンタの前に行き、ユーザーアイコン(最大100名)で自分を選択、(複数のウィジェットを起動している場合は)ウィジェットを選択することで、その機能を設定なしに使用することができる」(同)ため、「これまで知らなかったMFPの細かい機能を簡単にユーザーが活用することが可能になる」(同)という。
デスクトップ上にウィジェットを配置。Scan2Me plusで各種設定を行う |
ユーザー認証後のMFP上の画面。後はスタートを押して原稿を読ませれば自動的にPDFが自分のデスクトップ上に作成される |
実際に作成されたPDFを読み込んだところ |
"Printin'4Me plus"は上記の仮想プリンタドライバを活用することで、好きなときに好きなプリンタで印刷を実行することが可能となるウィジェット。「いわゆるロケーションフリー印刷を実現できる機能で、印刷ジョブを一時的にPC上に止めておくことができるので、印刷前にもう一度余分な印刷がないかのチェックも可能となるほか、PCと同一ネットワークのMFPの前に行き、印刷ボタンを押した段階で印刷が実行されるため、印刷された書類が誰かの目に止まるということもない」(同社グローバルマーケティング本部 商品マーケティングセンター 第二商品戦略室の大田哲史氏)という利点がある。
これまでも、専用サーバやICカードによる個人判別方法を用いたロケーションフリー印刷もあるにはあったが、専用システムを構築するためコストが割高となり、大企業しか活用できなかった。そのため大田氏は「この機能を活用してもらえれば、中小の企業でも無駄な印刷や重要書類を印刷したまま放置、という機会を減らすことができるようになるはず」(同)と説明する。ちなみに、Printin'4Me plusでもパスワードによる不正アクセスの防止などが可能となっている。
"ecoフレンドリープリント"と"中とじ製本プリント"は似たような機能で、前者が両面集約印刷をドライバ設定なしに実現するもので、後者が中とじ製本指定を同様に行うもの。
そして"プリンターモニター"がトナー切れや用紙切れ、印刷エラーといった複合機の状態をPC上からチェックすることが可能となるというもの。
ほぼ第1.5弾というタイミングで提供される"ONE Sheet"は、Webブラウザに表示された地図や時刻表、メーラー上のメールのやり取り、PDFなどから切り抜いた画像などを一枚の紙面上に自動的にレイアウトしてくれるという機能。これにより、例えば1月26日の午前10時にリコー本社前に行きたいと思った場合、通常であれば地図、時刻表、面会者とのアポイントのやり取り文面などをそれぞれ印刷していたものを、必要な部分だけを切り抜いて1枚に集約することができるようになるため、印刷コストの低減や、必要な文面のみを集めて集約することによる、どの書類に重要なことが書いてあったかのチェックなどのわずらわしさから解放されることとなる。
なお、App2Meは今後、春頃に第2弾が、2010年中にさらに第3段の提供が予定されており、サードパーティからも無償/有償さまざまなウィジェットが提供される予定となっている。
リコーでは、こうしたSaaSやクラウドとの連携によるMFPの機能活用を手助けするツールの提供を行っていくことで、「新しい顧客価値を創造」することに結びつけたいとしているほか、開発者視点としても「MFPがなくても開発が可能となるため、開発負担の軽減が可能になる」とし、開発側、使用者側、両方の視点でのMFP活用の活性化に向けた取り組みを行っていくとしている。