米IBMは19日(現地時間)、2009年度の第4四半期(2009年10-12月)および通期決算を発表した。コスト削減、新興市場に重点を置く戦略的なシフトが奏功し、前年同期比9%の増益を達成。2010年通期の利益見通しを上方修正した。
10-12月期の売上高は272億ドルで前年同期比1%増。純利益は48億ドルで同9%増だった。希薄化後の1株あたり利益(EPS)は同10%増の3.59ドル。
地域別では北南米地域が売上高111億ドルで前年同期比3%減となったものの、欧州/中東/アフリカ地域は97億ドル(同2%増)、アジア太平洋地域が58億ドル(同6%増)だった。新興市場部門の売上高が同14%増と急伸し、全体の20%相当にまで成長した。
事業別では、グローバル・サービス事業のテクノロジ・サービス部門が売上高101億ドル(前年同期比4%増)、ビジネス・サービス部門が46億ドル(同3%減)。全体では同2%増となる。サービス契約の総額は188億ドルで同9%増。22件が1億ドルを超える規模だった。ソフトウエア事業は売上高66億ドルで前年同期比2%増。そのうち、WebSphere、Information Management、Tivoli、Lotus、Rationalを含むミドルウエア製品が41億ドルで6%増。OSは6億ドルで横ばいだった。システム&テクノロジ事業は52億ドルで同4%減だったが、収益変化率が第3四半期から向上した。グローバル・ファイナンシング事業は6億ドルで同6%減。
粗利益率は、サービス事業およびシステム&テクノロジ事業における利益率改善により、前年同期比0.4%増の48.3%だった。
EPSが7年連続の二桁成長
2009年通期では、売上高が958億ドルで前年比8%減、純利益は134億ドルで同9%増。希薄化後EPSは同13%増の10.01ドル。これは7年連続の二桁成長だ。粗利益率は45.7%で、こちらは6年連続の増加。
10-12月期の業績報告においてコンサルティング事業に回復の遅れが見えるなど、景気後退の影響が依然残るものの、IBMは回復軌道に乗ったと見ているようだ。Samuel J. Palmisano社長兼CEOは「2009年を通じて、Smarter Planetソリューション、クラウドコンピューティング、アナリティクスなどの分野に投資してきた。こうした新たな可能性を追い風に、IBMは景気回復とともに成長する」とコメント。2010年について同社は、EPSの見通しを「少なくとも11.00ドル」と強気の予測を示す。