Amazonが提供しているサービスのひとつにMechanical Turkがある。ソフトウェアで処理する繰り返し作業の中には、ソフトウェアで処理するよりも人間が作業した方がいいものがある。こうした人が処理した方がいい作業を提案し、登録している他の誰か(Amazon Mechanical Turkではワーカーと呼んでいる)に処理してもらうための電子市場がAmazon Mechanical Turkだ。ワーカーには対価として数セントの支払われる仕組みになっている。
Mechanical Turk Studies Show IE Users’ Discontent, a Growing Interest in Chrome « Boriss’ Blogにおいて、Mechanical Turkを使った興味深いアンケート結果が報告されている。実施者は当初こうした仕組みを使った調査の実施に懐疑的だったとしているが、試しに実施してみてそのすばらしい効果と興味深い結果が得られたとしている。
調査では20秒程度で考えた7つの簡単な質問を用意。Mechanical Turkに登録したところ、4時間あまりで400人ほどのワーカーが回答してくれたという。1人あたりの作業時間は3分程度、対価は10セントだ。サンプルは北米のユーザが多く、一般の人よりもテクニカルなユーザが多いという偏った状況だと前置きしつつも、数時間でこれだけの回答が得られたことや、その結果が興味深かったことがまとめられている。
Mechanical Turk Studies Show IE Users’ Discontent, a Growing Interest in Chromeより抜粋 |
Mechanical Turk Studies Show IE Users’ Discontent, a Growing Interest in Chromeより抜粋 |
Microsoftは欧州において、欧州委員会とのやりとりの結果、ブラウザの選択画面を表示する機能を提供することで合意した。Mechanical Turk Studies Show IE Users’ Discontent, a Growing Interest in Chromeで報告されている調査はこれを念頭に置いたもので、現在どのブラウザを使っているか、そこからほかに使ってみたいブラウザがあるとすればそれは何かを調べている。報告されている結果からは次の特徴が読み取れる。
- 現在使っているブラウザを継続して使いたいとするユーザの割合が多い
- ChromeユーザはFirefoxに関心が強い。次いでSafari
- FirefoxユーザはChromeに関心が強い。次いでIE
- IEユーザはChromeに関心が強い。次いでFirefox
- OperaユーザはOperaに対する関心が強い
- SafariユーザはFirefoxに対する関心が強い
OperaユーザはOpera Softwareにとって優良ユーザで、Operaに惚れ込んでいる様子がわかる。またIEユーザはほかのブラウザへの関心が高く、特にChromeに強い関心を抱いていることになる。ChromeユーザとFirefoxユーザはお互いに相手が気になるという状況となる。こうした関心の結果は、これまでのブラウザシェアの推移から予想されるChromeのシェア大幅増加、IEシェア減少、Firefoxシェア増加といった状況と合致する。