1月13日、帝国データバンクと東京商工リサーチから日本航空(以下、JAL)グループを主要取引先とする企業に関する調査結果が発表された。帝国データバンクは取引先合計数を1.030社としているのに対し、商工リサーチでは取引先合計数を2,910社としている。

帝国データバンクの調査結果

日本航空主要取引先の業種別一覧 資料:帝国データバンク

帝国データバンクは、JALと2008年度有価証券報告書記載の連結対象先72社の計73社を調査対象とし、金融、ホテル・旅館、旅行業界のグループ各社、海外の現地法人は、調査対象先から除外した。また、取引先からも空港会社、金融機関、ホテル・旅館、旅行会社は除外されている。

業種別では、運輸関連の173社(構成比16.8%)がトップで、次は機械関連の152社(同14.8%)だった。国際線は機内で過ごす時間が長いこともあり、利用客や従業員向けの生活物資に関する業界の企業が多い点が、特筆事項として挙げられている。

売上高規模別では、1億円以上5億円未満の330社(構成比32.0)が最多で、次が10億円以上50億円未満の222社(同21.6%)となった。売上高が1億円未満の企業も166社など、中小企業の割合が多いのは、大企業だと同グループと取引をしていても全体の売上高の中でその占める割合が小さく、主要取引先と認識してないからだと、帝国データバンクは分析している。

日本航空主要取引先の従業員規模別一覧 資料:帝国データバンク

従業員規模別では、10人未満の374社(構成比36.3%)が最多となった。10人以上50人未満の353社(同34.3%)も含め、50人未満の企業は727社(同70.6%)に上り、中小企業の割合が多い。

帝国データバンクは、主要取引先と認識している企業に限っても、JALグループは中小企業との取引が多く、特定子会社の日本航空インターナショナルや子会社だけでなく、関係会社の動向・処理次第では、さらに多くの企業に影響が及ぶと予想している。

東京商工リサーチの調査結果

東京商工リサーチは同社が保有する企業データベースで、JALグループ各社(国内に本店を置く連結子会社、持分法適用関連会社)の業績・取引状況と、JALグループ各社を主要取引先とする国内企業の取引状況を調査した。

その結果、グループ91社(国内連結子会社76社、持分法適用子会社15社)のうち、69社(構成比75.8%)、つまり4社に3社がグループ内取引を行っていることがわかった。

また、持株会社を含めた同グループを直接の主要取引先にしている国内企業数は2,910社(仕入・販売先含む)に及ぶ。さらに、これら企業の仕入先の仕入先、販売先の販売先など間接的な取引を行う二次取引先は延べ1万424社(判明分)に達し、JALの経営破綻は全国に影響が及ぶおそれがあると、同社では指摘している。

国内連結、持分法適用子会社91社中、直近業績が判明した69社のうち、売上が1,000億円を超える企業は中核の日本航空インターナショナルを含めたジャルウェイズ、ジャルツアーズ、JALUXなどの4社(構成比5.8%)。売上規模が100億円以上1,000億円未満は18社(同26.1%)、50億円以上100億円未満は7社(同10.1%)、50億円未満が40社(58.0%)だった(非公表22社)。売上50億円未満の企業が約6割であり、これらを中心に統廃合などの効率的な企業再編が予想される。

直接の取引先(一次取引企業)の内訳はJALグループを仕入先とする企業が延べ1,620社、販売先とする企業が延べ1,290社だった。また、間接取引先(二次取引企業)は仕入先延べ6,777社、販売先延べ3,647社だった。

売上規模別では、一次取引企業は売上1億円から10億円未満の中小・零細規模が多いことがわかった。

現状の方針では、会社更生手続を申し立てても一般商取引債権は保護され、金融機関などを除きJALグループとの取引での不良債権は発生しない見込みだが、会社更生法を申し立てると更生計画に沿ったグループの再編、事業の縮小や撤退などは避けられず、同グループを主要取引先にしている企業に影響が押し寄せることが懸念されると、同社では見ている。