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MozillaはFirefoxアドオンの基盤を現在のXULベースのものからJetpackおよびPersonasベースのものへ移行させたいというメッセージを以前から発信している。このあたりの状況や事情に詳しい開発者やユーザにとってみれば、これはそれほど特記すべき内容ではない。しかし内情をよく知らないユーザにとっては誤解を招きやすいところでもある。MozillaのMike Conner氏がブログで掲載したOn Personas and themesが開発者やユーザの間でちょっとした騒ぎになった。
まず、GoogleがChromeで実現した次の機能に注目したい。
- ブラウザのバージョンアップが強制的に実施される
- エクステンションをインストールしたあとに再起動が不要
- エクステンションの開発がHTML、CSS、JavaScriptのみで済む
- エクステンションの開発が簡単
- エクステンションのアップグレードが簡単
- テーマをインストールしたあとに再起動が不要
- テーマの開発が簡単
これはそっくりそのまま、Firefoxが抱えている問題でもある。Firefoxではこれら問題を解決するための次の取り組みを進めている。
- 強制アップグレードはしないが、アドオンやテーマのアップデートを簡単にしてユーザのアップデート阻害要因を減らしていく
- Jetpackのコマンドとしてアドオンを開発する (再起動不要)
- Jetpackのコマンドとしてアドオンを開発する (JavaScript/CSS/HTMLベース)
- Jetpackのコマンドとしてアドオンを開発する (JavaScript/CSS/HTMLベース)
- Jetpackのコマンドとしてアドオンを開発する (バージョンアップメカニズム用意)
- Personasでテーマを開発する (再起動不要)
- Personasでテーマを開発する
Mozilla Labsで実験的に取り組まれているJetpackやPersonasは、こうした問題を解決する鍵になっている。現在のFirefoxの方式では、UIの変更とテーマの調整、APIの互換性確保のすべてを両立たせるにはまとまった開発時間とそれ相応の技術力、継続したメンテナンスが欠かせない。しかも緩やかなアップグレードではなく、迅速なアップグレードが求められている。JetpackとPersonasはこうした問題に対する一つの取り組みであり、それ相応の効果を持っている。
しかし、こうした内実を知らない状況でOn Personas and themesを読んだユーザには「MozillaがFirefoxアドオンを捨ててJetpackとPersonasのみに移るつもりなのか」といった誤解を与えてしまったようだ。同ブログに寄せられているコメントには、いったい何を考えているつもりなのか、Firefoxを始末するつもりか、またChromeがやっていることをコピーするつもりか、という懸念が示されている。最近のFirefoxが取り組んでいる内容はどれも先行してChromeが実現しているため後追いのように見えがちだ。もちろん、Chromeの影響がまったくないとは言えないだろう。しかしこうした取り組みはChromeで機能が実現されるよりも前の段階から議論され開発が取り組まれてきたもので、Chromeの後追いをしているわけではない。
2万を越えるFirefoxアドオンはFirefoxの最大の魅力のひとつであり、この状況は今後も変わることがないようにみえる。Mozillaでは徐々にJetpackを使った実装へアドオンが切り替わっていくことを狙っているが、現在のアドオンのサポートがなくなるわけではない。