映像やオーディオ制作全般に使用可能なアプリケーション群を網羅する「Adobe Creative Suite 4 Production Premium」。放送、Web、携帯機器と多岐に渡る配信先への出力に対応し、従来バージョンより生産性は大幅に向上しているという。本レポートでは、Adobe Creative Suite 4 Production Premiumが実現するワークフローを紹介していこう。
Adobe CS4 Production Premiumに収録されるアプリケーション
Adobe Creative Suite 4 Production Premiumに収録されているアプリケーションは全部で11本。「Adobe Photoshop CS4」や「Adobe Illustrator CS4」も網羅し、企画段階でアイデアを練るのに必要なストーリーボード制作や、静止画像データの動画への活用がサポートされる。そして「Adobe Premire Pro CS4」と「Adobe After Effects CS4」は、より効率的な連携作業を可能にし、短期間での制作ができる。企画立案から制作・データ管理に至るすべての工程をフォローする。
テープレスカメラの映像を直接編集・管理
まずは制作チームによる企画立案。これは、静止画像や文字、図版を駆使した企画書作成から始まる。ここで使用するのはAdobe Photoshop CS4やAdobe Illustrator CS4。そして、ディスクレコーディングを行う「Adobe On Location CS4」はDVCPRO HDにも対応し、既存の同社製ビデオ・オーディオ関連のアプリケーション同等のインタフェースを採用している。さらに、Adobe OnLocationからAdobe Premire Proへ情報の劣化なくコンテンツを移動することが可能になり、撮影中に入力されたメタデータも活用できる。録画中に行える操作も、注釈を入れるコメントマーカの搭載など強化されており、編集作業を見越した録画が可能だ。プラットフォームも新たにインテルベースのMac OS Xに対応。アプリケーションの能力を最大限に活用できる。なお、Adobe OnLocationやAdobe Premire Proといったアプリケーション上で付け加えられたメタ(XMP)データは、「Adobe Bridge CS4」からも管理・閲覧が可能。さらにAdobe Bridge CS4では、Adobe Premire Pro CS4やAdobe After Effects CS4で新搭載された「スピーチ検索機能」も連動して利用できる。
アプリケーション間の連動機能を強化、効率的な制作フローを実現
素材の準備が完了したら、実制作・編集作業のスタートだ。ここで使用するのは、Adobe Premire Pro CS4やAdobe After Effects CS4、そして「Soundbooth CS4」、「Adobe Flash CS4 Professional」の4製品。Adobe CS 4 Production Premiumでは、「テープレスワークフロー」を提案しており、収録アプリケーションでは、RED、AVCHD、P2、XDCAM EX、XDCAM HDといった主要フォーマットに対応し、それらのフォーマットを直接扱うことができる。そのため、従来のようにフォーマット変換や取り込み作業に時間を掛けることなく、撮影から編集作業までの時間を大幅に短縮。さらに、画像劣化の少ないREDデジタルシネマのR3D形式にもネイティブ対応するため、画質を重視した高品質なコンテンツ制作も可能だ。そして注目すべきはAdobe Dynamic Linkによるアプリケーション間の連携と双方向編集機能の強化。Adobe Premire ProからEncoreに直接シーケンスを渡したり、変更の自動更新を行ったり、Adobe Creative Suite 4製品と有機的に繋がり合い、お互いの機能を補完し合って作業できる。この点は、Adobe CS4 Production Premiumだけに見られる、従来のバージョンにない利点と言えるだろう。なお、同社ソフトだけでなく「Final Cut Pro」との連携機能も強化。コンテンツをAdobe After Effectsに移動して特殊効果を付け加えたり、スピーチ検索を使用して検索可能のビデオを作成するなど、多様な編集機能を加えることができる。
オーサリングからパブリッシュまでひとつのアプリケーションでサポート
制作の仕上げに行うのは、配信メディアに合わせたオーサリングと配信。ここで活躍するAdobe Encore CS4は、DVD向けプロジェクトをそのままWebに展開したり、Flashファイルも書き出すことができる同社ならではの製品だ。新機能として、コンピュータディスプレイとTV画面の違いを確認するプレビュー機能や8.54GBの2層記録Blu-rayディスクの作成機能をサポート。字幕トラックをテキストとして書き出すこともできるので、そのままAdobe Encore CS4上で字幕編集が行える。なお、同社製品として配信をサポートするのはFlash Media Serverファミリー。ここでは、普及率の高いFlashのストリーミング配信やAdobe AIRをベースにしたAdobe Media Playerによる再生をサポートする。