レストランを探すとき、どんな情報を参考にする?
インターネットで飲食店を検索する際、どんな情報を参考にするだろうか。目安料金、クチコミ、店内イメージあたりが基本的な情報だろう。そこに"ライフスタイルのマッチング"という切り口を提供するのが、飲食店のクチコミ情報サイト『Alike.jp』だ。運営会社アライクの代表取締役 日下康幸氏は、「第3世代の情報サービス」と説明する。
日下康幸 アライク 代表取締役 |
「第1世代の情報サービスは、チラシがネットに載った程度。店舗主導のサイトで、『行ってみたら、思っていたのと違った』ということが多かった。第2世代は、自称グルメ評論家などの発信情報を参照するタイプだが、そこで店を調べても、友人に『行ったことある?』と確認してから行く、という使い方が少なくない。だったら、最初から友人に聞けばいいのでは? というのが本サービスの趣旨」(日下氏)。
人は自分とライフスタイルが近い人の意見に耳を傾けやすい。店選びにしても、遊ぶエリア、お酒や料理の好み、一カ月の飲食代金──そうした属性の近い人たちが薦める店のほうが安心できる。そこでAlike.jpは、登録ユーザーを対象に、店舗の検索結果に、"属性の近いユーザーたちが評価する店舗"を反映するようになっている。「"原宿の和食店"で検索しても、ユーザーによって異なる結果が出るのはそのため」(日下氏)。ユーザーと店舗をマッチングさせる仕組みをキモとしているわけだ。なお、取得する属性は約10項目にわたるが、ユーザー登録時やログインごとに少しずつ質問に答えていく形式をとっている(未登録でも店舗検索は可能)。
Alike.jpのトップページ。登録店舗数は約90万件(2010年1月現在) |
ユーザー登録をすればSNS機能を利用できる。属性を登録するとマッチングエンジンによる検索サービスが利用できる |
Alike.jpではSNS機能も提供される。足を運んだ店について情報や感想を登録すると、ソーシャルグラフ(SNS上の友人関係)を通じて「誰がどの店に行ってどんな評価をしたのか」がわかるようになる。Alike.jpでは、ユーザーを"コンシェルジュ"と位置づけており、傾向の近いユーザーや個別に推奨されるユーザーをフォローしておくと、好みの店舗情報が得られやすくなる。そして気になる店があればクリップ。外出先で急に飲食店を探す必要に迫られても、iPhoneや携帯電話からクリップ情報をチェックするという使い方も便利だろう。
ただし、現状では「コミュニティの活性化が課題」(日下氏)とするように、SNS本来の仕組み自体はうまく機能していない。この点については、コミュニティ機能の利用を促す仕掛けを盛り込むことで対応していく予定という。
もちろん、店舗検索はユーザー登録不要で利用可能だ(マッチングエンジンは機能しないが)。約90万件の店舗情報が登録されており、「ぐるなび」や「食べログ」などと同様に店舗を検索できる。駐車場の有無や喫煙状況など設備・サービス関連の検索条件を加えたり、"落ち着く" "野菜がおいしい" "ひとりでOK" といったフィーリングや、"20~30代の秘書が行くお店"などユーザー属性から検索できるようにもなっている。
ライフスタイルを軸にした検索サービスへ
現在、月間ユニークユーザー数は約320万UU。利用形態の比率はPC6割、モバイル4割、男女比はほぼ半々。アクセス数は土日で逆転することから、「平日は職場から利用する人が多い」(日下氏)ようだ。Alike.jpはおもに飲食店の検索に使われるが、提供する情報カテゴリを限定してはいない。「ホテル」「リラクゼーション&ビューティ」という店舗情報も用意しているとおり、将来的には「アパレル、稽古事、病院、ホームサービスなど」(日下氏)飲食店に限らず幅広く情報を提供していく予定だ。こうした情報は、すべてライフスタイルをもとにユーザーと結びつけていくという。
飲食店情報を充実させたのは「飲食店がもっともよく検索されるから」(日下氏)。そこから得た多くのユーザーのライフスタイル情報を、"人と店舗"のマッチングサービスに活用していく。実際、日下氏は手応えを感じていると話す。「自分の好きな飲食店に行く人は、こんなショップで服を買って、こういうヘアサロンに行くのか──というクロスセル効果が生まれはじめている」。