米Yahoo!が同社傘下のZimbraの売却を検討しているという話が出ている。これはAll Things DigitalのBoomTownのコーナーでコラムニストのKara Swisher氏が1月4日(現地時間)付けで報じているもので、売却先は米VMwareとなるようだ。
ZimbraはYahoo!が2007年9月に3億5,000万ドルで買収したWebコラボレーションソフトウェア企業。WebメールやカレンダーなどのWebアプリケーションをAjaxのテクニックで使いやすい形でまとめたもので、Yahoo!の中核ビジネスの将来的なコアとなることが期待されていた。だがZimbra自体は買収以前より高い人気でコアユーザーを獲得しているものの、買収後に期待されていたYahoo!とのコラボレーションは依然として成果が見られない状態が続いていた。
一方でYahoo!では、Zimbra買収を指揮していたといわれる当時のCEOだったJerry Yang氏がMicrosoftとの一連の騒動の責任を取る形で辞職し、新CEOに就任したCarol Bartz氏指揮の下で体制の刷新が行われてきた。Zimbra売却もBartz体制でのリストラ策の一環とみられ、よりコアのビジネスに集中するとともに、資産の切り売りやプロジェクト中止で財務体質強化を狙った可能性がある。
Swisher氏によれば、Yahoo!は過去数カ月にわたってZimbraの売却を試みていたものの、売却額で折り合いがつかずに交渉が長引いていたようだ。実際、契約締結間近とみられるVMwareへの売却でも、当時の買収額である3億5,000万ドルを大きく下回っているようで、昨今の金融危機による時価総額の目減りとライバル他社の企業運営の厳しさが垣間見られる状況だ。なお、VMwareはZimbra買収で従来の仮想化分野でのインフラ提供だけでなく、ソフトウェア企業として"より上位のスタック"を提供できる体制を強化する方向を目指しているという。