シャープは、Enel Green Power(EGP)およびSTMicroelectronicsと薄膜太陽電池の生産事業に関する3社合弁契約、ならびにEGPと独立発電事業(IPP)に関する2社合弁契約を締結したことを発表した。
薄膜太陽電池の製造事業に関する同契約は、シャープとEnelが2008年5月に締結した覚書に沿うもので、STMicroが戦略的パートナーとして参加した形となっている。各事業に関して、各社は欧州委員会の承認を得て、それぞれ合弁会社を2010年3月末までに設立する予定。
生産事業としては、合弁会社設立後、STMicroの伊シチリア州カターニャのM6工場を活用し、2011年初頭から薄膜太陽電池の生産を開始する計画。第1次展開として年産160MW規模の生産体制を整備、数年以内に年産480MWまで拡張することが予定されている。160MW規模の生産体制には総額3億2,000万ユーロの投資が必要と見られ、これらの資金については金融機関からの融資に加え、3社それぞれが最大7,000万ユーロまで均等に出資する。
製造される薄膜太陽電池は3層型で、モジュールは高温環境下でも高い電力変換効率を維持することが可能なほか、結晶系に比べSi含有率が低いため、モジュールもSiの価格変動の影響を受けにくいという特長がある。生産された薄膜太陽電池はシャープとEGPの販売網を通じ、欧州および地中海エリアを中心に販売される予定である。
一方のIPPに関しては、シャープ、EGPの2社で合弁会社「ES Solar Farms(ESSF)」を設立。2016年12月末までにM6工場で生産される薄膜太陽電池パネルを活用し、合計500MW規模の発電所を複数建設する計画で、イタリアのほか、フランス、スペイン、ギリシャなど地中海地域へ向け発電事業を展開する。
なお、カターニャ地方には、EGPの研究所「Conphoebus」があるなどの地域的特長もあり、シャープとしても電力会社と協力し、薄膜太陽電池の生産から独立発電事業までを一貫して手掛ける世界で初めてのソーラービジネスモデルを立ち上げ、太陽電池のトータル・ソリューション・カンパニーの実現に向けて取り組んでいきたいとしている。