宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月28日、都内にて12月22日より1月2日までの予定で帰国している山崎直子宇宙飛行士の会見を開いた。

今回のミッションが初飛行となる山崎直子宇宙飛行士(日本人女性としては向井千秋宇宙飛行士に続き2人目となる)

山崎宇宙飛行士は2010年3月をめどに打ち上げを計画しているスペースシャトル「ディスカバリー(Discovery)」(STS-131/19A)のクルーで、2010年9月に予定されているスペースシャトルの退役スケジュールに変更が無ければ、最後の日本人クルーということとなる。

このことについて、山崎宇宙飛行士は「今まで多くの日本人がスペースシャトルで活躍してきた。そういったこれまでの積み重ねがあるからこそ、今回は米国のミッションだが、そうした中で日本人でも良い仕事をしてくれると思って選んでもらったと思っている」とし、ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)として、担当する国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System:SSRMS)およびスペースシャトルのロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System:SRMS)の操作のほか、ロードマスター(物資移送の責任者)として、スペースシャトルとISSの間を6t以上の物資移送を確実にやり遂げたいと語った。

移送される物資の中には、日本からも多数の実験機材がMulti-Purpose Logistics Module(MPLM:多目的補給モジュール)「レオナルド」に搭載され搬入される予定で、今回の来日はその機材のレクチャーなどの意味も含まれているという。

打ち上げ後は、先日ISSでの生活を開始した野口宇宙飛行士と合流することとなり、宇宙に2人の日本人宇宙飛行士が同時に滞在することとなる。「2人の日本人が宇宙に居るということで、2人で日本のプレゼンスをはっきできると良いねと話しており、色々と隠し玉を用意している。玉手箱を沢山詰めて宇宙に行きたい。宇宙に行ったときを楽しみにしてもらいたい」と抱負を語り、日本を意識させる和楽器などを持ち込む計画のほか、野口宇宙飛行士がISSで行いたいと考えている握り寿司も2人で握れれば、と期待を示した。

また、宇宙飛行士に選抜されてから今日までの日々を振り返り、「長かったようであっという間の日々だった。その間、一日一日色々あったし、結婚、出産と家庭環境も変わった。ここまでこれたのは多くの人たちの支援のおかげ。本当に感謝している。訓練や生活を通して、一瞬一瞬に全力を出すような生き方を意識するようになった。結果として何事も全力を尽くし、後は天命を待つといった生活で、ある意味、楽観的になりました」と笑顔で宇宙飛行士に選抜されてからの約11年間を振り返った。

山崎宇宙飛行士は長期滞在に対しても意欲を見せており、「今回の経験を糧に、ぜひ長期滞在にアジアの、日本人の女性としてがんばってみたい」と述べ、7歳になる長女や、多くの子供達に、人類が地球をより良くするために、みんなでがんばっているということを伝えていきたいと希望を語ってくれた。

なお、STS-131ミッションでは、サッポロビールとリバネスが連携し、2009年8月に打ち上げられたビール用ホップ保管実験の育種ホップの種子など、複数の研究結果が持ち帰られる予定となっている。

一番右の写真がSTS-131/19Aのミッションパッチ。テーマはfly to the futureとなっており、ISSが完成した後、さらに未来を見据え月や火星が描かれている