「Adobe Creative Suite 4」のパッケージデザイン(アートワーク部門)ならびに、楽しくてアイデアに満ちたデジタル写真(フォトアイデア部門)を募集したマイコミジャーナル主催のコンテスト「Adobeクリエイティブコンテスト」。同コンテストの審査結果は既報の通りだが、今回は各部門の最優秀賞とデジタルハリウッド賞の選考を行った審査会の模様をレポートしていこう。
同コンテストでは、審査対象作品をすべてカラープリンタで出力。パッケージの形で審査が行われた。審査員を務めたのは、デジタルハリウッド学校長の杉山知之氏、Flashアニメなどの作品を手がけているクリエイターの青池良輔氏、バンブーデザイン企画室代表取締役兼アートディレクターの竹田良雄氏の3名。審査が開始されると、各審査員から「店頭に並んでいてもおかしくない作品が多い」、「これはプロには思いつかないデザインだ」との声も聞かれ、応募作品の多さとレベルの高さに感心していたようだ。
審査方法は、部門別に各審査員が数点の作品を選んだ後、選ばれた作品の中から、3名が意見を交換しながら最優秀賞を選出するというもの。また、アートワーク部門一般の部の次点作品が、デジタルハリウッド賞に選ばれた。
フォトアイデア部門の最優秀賞は、i-senseiさんの作品「ルンルンルン♪」。青池氏は、この作品に対して「写真を面白く加工するアイデアではなく、手法にアイデアを求めている作品として選びました」とコメント。部門全体に対して杉山氏は、「デジタルツールを使うテクニックが評価できる作品もありましたが、アイデアという点では目新しくない作品が多かった」とコメントしている。
アートワーク部門学生の部の最優秀賞は、vitaさんの作品「A Flash」。青池氏は、「電球を使って夢や希望を光り輝かせるイメージが盛り込まれて、アイコンを使った分かりやすいコンセプトも評価できました」とコメント。部門全体に対して竹田氏は、「店頭に並んでいてもおかしくないデザインから、プロなら絶対に考えない学生らしい作品もあり、どちらを選ぶべきか悩ましいところでした」と語っている。
アートワーク部門一般の部の最優秀賞は、ワカキ燕さんの作品「紡ぐ、創造の使者。」が受賞。また、デジタルハリウッド賞はmogmogさんの作品「才能の種」が選出された。最優秀賞受賞作品に対して杉山氏は、「素材としてカラスの羽根を選んだコンセプトがしっかりとしていますし、ロゴデザインもレベルが高いですね」と評価。デジタルハリウッド賞受賞作品に対して竹田氏は、「今までのAdobe社製品パッケージにはないデザインで、最後まで気になっていました。従来の流れからは外れていますが、このパッケージが店頭に並んでいてもおかしくないと思います」とコメントしている。
Adobeクリエイティブコンテスト受賞作品 |
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左からアートワーク部門 一般の部 デジタルハリウッド賞、アートワーク部門 一般の部 最優秀賞、アートワーク部門 学生の部 最優秀賞、フォトアイデア部門 最優秀賞 |
アートワーク部門の総評として杉山氏は、「思いのほかレベルが高い作品が数多く集まりましたね。プロからアマチュアも含めと本当に多種多様なアイデアが埋もれていると感じました。これらの作品を集めた展覧会を開いても良いくらいだと思いましたし、既存のルールにとらわれずにパッケージデザインをもう1度考え直す機会にもなるでしょう」と締めくくった。
撮影:中村浩二