フューチャーデザインセンター(以下:FDC)は、SAPジャパン、シャープ、日建設計、日本HP、三井不動産、イーソリューションズとともに、「スマートシティプロジェクト」を共同で行っていくと発表した。
一般社団法人であるFDCは、前東京大学総長で現在 三菱総合研究所理事長である小宮山宏氏が提唱者となり、東京大学総長室 顧問 山田興一氏、三井不動産、イーソリューションズとともに2009年7月1日に設立された。
千葉県柏市・柏の葉キャンパスをフィールドとしながら、同エリアにキャンパスを置く東京大学と連携し、環境や少子・高齢化という現在日本が抱える課題に対し、企業の協力を得ながら、自治体などに課題解決へ向けた具体的な「先進モデル」のデザインを提供していく。
「スマートシティプロジェクト」は、FDCが最初に手掛けるプロジェクトだ。今後は、プロジェクト単位に企画会社を立ち上げ、参画企業を募りながら事業を推進していく。
FDCが目指すのは、日本を「課題解決先進国」に導くこと。FDC最高顧問であり、FDC提唱者の小宮山宏氏は、「日本の課題は世界の課題」と述べる。すなわち、現在日本が抱える環境問題や少子・高齢化といった問題は、いずれ世界共通の大きな問題となるため、日本の高い技術力を背景に、日本が世界にさきがけて課題解決のためのソリューションを開発すれば、その分野において日本が世界をリードしていくことができ、新たな産業や雇用の創出につながるというわけだ。
小宮山氏は記者発表で「日本は、狭い国土で資源がないが、大きな産業があるというのが特徴だが、これは、まもなく来る世界の状況だ。今後、世界は高齢化社会をむかえる。日本が高齢化社会への答えを出すことは、世界のモデルを示すことになり、新しい産業が生まれる。また、環境問題では、エネルギー効率が高い日本がこれまで解決してきたものが世界を引っ張っていくことになる。日本がさきがけて課題を解決する課題解決先進国になろう」と呼びかけた。
「スマートシティプロジェクト」は、再生可能エネルギーと省エネルギー化の促進によるCO2の排出を削減するためのプロジェクトで、2009年9月1日に設立された「スマートシティ企画株式会社」を中心に事業を推進する。この会社には、SAPジャパン、シャープ、日建設計、日本HP、三井不動産、イーソリューションズが参画する。今後は他の企業にも参加を呼び掛けていくという。
スマートシティプロジェクトでは今後、地方自治体や各国政府などが構想している環境都市を目指すプロジェクトに対して、具体的なデザインを提供し、参画企業が実際のソリューションを提供していくことになる。
FDC センター長で、スマートシティ企画の代表取締役社長の佐々木経世氏は「日本は高い技術力をもっているが、それを事業化できない」と、日本企業の課題を指摘。FDCはこの部分を解決するための中心的な役割を果たすという。すなわち、FDCが中心になって参画企業の役割と責任を明確化するとともに、実証実験など技術面の解決と同時に、事業計画というビジネス面も同時に進め、事業化を加速させていく。
具体的は、営業戦略の検討、太陽電池普及検討、EMSの検討、シュミレーションの検討、プロジェクトの運営という5つ役割グループを設け、参加企業がその中でそれぞれの役割を果たし、事業化を推進していく。
ただ、資金や具体的な活動内容については、来年3月までに詰めていくという。