エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ)と富士通は12月16日、既存技術での解決が困難とされるIPネットワークにおける「サイレント障害」を検出し、発生区間を特定する技術を共同開発したと発表した。

サイレント障害とは、ルータ装置内部の障害によってIPネットワーク上でのデータ送受信が停止していても、装置自身が故障を検出しないため、ネットワーク管理者にアラームが通知されない障害のこと。

サイレント障害を検出する一般的な方法は、専用の監視装置をIPネットワーク上に設置して試験データの送受信結果のみを用いて分析するというもの。これに対し、2社が開発した技術は、送受信結果とデータロス率や遅延状況などの測定結果を合わせて分析することで、障害発生の兆候も含めて早期に検出することを実現する。

NTTドコモと富士通が開発したサイレント障害を検出する技術の仕組み

また、サイレント障害の発生区間を特定する一般的な方法は、IPネットワーク内の全データ経路に対して上記の障害検出結果に基づく計算を行うというもの。これに対し、2社が開発した技術は実際にデータが流れているネットワーク経路情報を基に障害検出結果を分割して処理する独自の分析手法を用いることで、一般的な手法と比べて障害発生区間の特定に必要な時間を最大80%短縮することが可能だ。さらに、従来の障害検出技術によって取得したルータの情報なども加えて詳細な分析を行うことで、サイレント障害の発生区間を迅速に特定することができる。

NTTドコモと富士通が開発したサイレント障害の発生区間を特定する技術の仕組み

これら2つの技術により、現在NTTドコモが2010年12月に予定されているLTEの導入に向けて進めているネットワークのIP化において、障害発生時のサービス復旧時間の短縮を図ることが実現される。