「Amazon EC2 Spot Instances」が開始

米Amazon.comは12月14日(現地時間)、Amazon Web Services (AWS)の新サービス『Amazon EC2 Spot Instances』を発表した。これは未使用のEC2のクラウドリソースをオークション形式の競売にかけるもので、EC2インスタンスの"スポット"価格を自身の入札価格が上回った場合、当該のインスタンスを利用可能になる。スポット価格は需要と供給に応じて時価で変化し、自身がインスタンスを終了する、あるいはスポット価格が入札価格を上回った段階でSpot Instancesは終了する。同社によれば「優先順位の低いワークロードを安価にこなすための仕組み」とその狙いを説明する。

通常、EC2で利用するインスタンスは種類やサイズ、利用時間に応じて課金額が一意に決定される価格モデルが採用されている。無駄なく、必要なリソースを必要なだけ購入するというユーティリティ・コンピューティングの概念が売り物だ。だが一方でクラウドのインフラを提供するAmazon.comのような事業者では、需給予測に基づいて常に余剰なリソースを抱え込んでいることになり、こうしたリソースは使われずに眠っている。そこで余剰リソースをオークション形式で販売することで、より多くのユーザーに活用してもらおうというのがSpot Instancesだ。

Spot Instancesは需給予測に応じて「Spot Price」(スポット価格)が設定されており、時間で変化する。ユーザーはSpot Instancesの購入希望額をあらかじめ設定しておくと、その希望額がスポット価格を上回った段階でインスタンスの利用が可能となる。終了条件は前述のように自身でインスタンスを終了させるか、スポット価格が希望額の範囲を上回った段階で自動終了する。条件付きで比較的安価にインスタンスを利用できるという仕組みだが、これをうまく活用することで、例えばリアルタイム性を求められない処理をSpot Instancesに割り振り、トータルのEC2利用料金を安価に抑え込むといった使い方が可能になる。Spot Instancesの詳細についてはAWSの当該ページを参照のこと。

またAmazon.comでは、Amazon Virtual Private Cloud (VPC)の正式版提供も同日に発表している。これは2009年8月に限定ベータとして提供が開始されたもので、AWSクラウド内で動作するEC2と企業ネットワーク内の"オンプレミス(On-Premise)"なネットワークをVPNで接続させ、システム連携を可能にする。既存のEC2ユーザーはオプションを追加することでVPCの利用を開始できる。