紛失や盗難PCのデータをリモートで削除する「トラストデリート」を販売するワンビは都内でセミナーを開催し、「トラストデリート」の新バージョンをWindows Azureの課金開始に合わせ、2010年2月から提供すると発表した。
「トラストデリート」は、盗難・紛失したPCの重要データを、携帯電話やPCを使ってリモートで削除するソリューション。一定時間PCが利用されない場合ファイルを削除する「自動消去機能」や、インターネットがない環境では、重要データをPC内の別場所に隠匿する「不可視化機能」などを有する。
そして、同社 取締役CTOの板井清司氏によれば、企業からもっとも好評を得ているのは、消去確認証明書の発行機能だという。これは、データ消去完了をユーザーに知らせる機能で、企業ではこれにより事後処理の完了を把握できるという。
「トラストデリート」は、Linux、Apatch、MySQL、PHPという、いわゆるLAMPで構成されるサーバを利用しているが、新バージョンでは、Windows Azureのほか、Windows Server 2008(R2も含む)にも対応するほか、「インテリジェント消去」「BitLocker連動」という新機能も追加する。
「インテリジェント消去」は、Windows Desktop Searchと連動して、指定したファイル名、日付、キーワード、拡張子などの条件に合致するファイルを削除する機能。
一方、「BitLocker連動」は、Widnows 7の新機能であるHDD暗号化機能「BitLocker」の暗号キーをリモートで削除する機能。これにより、暗号キーを削除されたPCは、次回起動時にパスワードを入力しても起動されなくなるという(ただし、Active DirectoryやUSBメモリに保管されている復旧パスワードで復旧は可能)。
また、今後はインテルのvProテクノロジーに対応し、電源OFFの状態でもファイルを削除する機能や、ファイルを消去する前にサーバにバックアップする機能を追加していく予定だという。
ワンビ 代表取締役社長 加藤貴氏はセミナーの冒頭で挨拶し「プライバシーマーク制度が始まって10年になり、1万社以上が取得しているが、昨年の情報漏えい事故は1489件と、前年の約700件から倍増しており、情報漏えいがなくなるどころか増えているのが現状だ。企業の中には、PCの持ち出しを禁止しているところもあるが、モバイルPCについて日本は世界に誇れるすばらしい技術をもっており、モバイルで仕事をすることにより、ビジネスを円滑に進めることもできる。これまでは、暗号化や認証といった予防対策によりセキュリティを確保してきたが、遠隔消去や追跡技術など事後対策が次世代のセキュリティだ」と述べた。
なお、同社はこのソフトによりマイクロソフトの「Microsoft Innovation Award 2009」の最優秀賞を受賞している。
Microsoft Innovation Awardは、独創的なアイディアを持つベンチャー企業をマイクロソフトが表彰し、マーケティング的な露出や技術支援、グローバルビジネス展開をサポートするもの。2009年は、ワンビを含め5社が優秀賞に選ばれ、その中からワンビが最優秀賞に選ばれている。