シマンテックは12月10日、プレス向けにクラウドに対する戦略説明会を開催した。 シマンテック システムエンジニアリング本部 本部長 有吉純氏は冒頭、クラウドに対する世の中の認識を「現在、世の中はクラウドに対して、魅力を感じているが、実際これからどうすればよいのかを悩んでいるというのが現状だ」と説明した。
同社では、クラウドに対して、「売上高の15%をクラウドコンピューティング関連で達成する」「すべての製品をクラウドコンピューティングに対応する」「3つの形態でクラウドコンピューティングを推進する」という3つの戦略を立てているという。
3つの形態とは、自社によるクラウドサービスの提供、クラウドに対応したインフラの提供というインフラベンダーの立場、クラウドに対応したソフトウェアの提供の3つだという。
シマンテック自身がクラウドサービスを提供しているという印象はあまりないが、有吉氏よれば、コンシューマ向けのオンラインバックアップサービスでは、ワールドワイドで900万人のユーザーを持っており、シマンテックが買収したSaaS型セキュリティサービスを提供するメッセージラボでは、Symantec Hosted Servicesという名前で、ワールドワイドで2万1000社に対してメールセキュリティやWebセキュリティサービスを提供しているという。
有吉氏は、クラウド時代には、非構造化データの爆発的な増加により、ストレージコストの削減と、オンプレミスとクラウドというハイブリッドな環境を統合的に管理することが必要になると指摘。
ストレージのコスト削減では、無駄な領域の可視化、重要度に応じた保存するストレージを分ける階層化管理、ストレージ単位ではなく容量単位に割り当てるシンプロビジョニング、重複排除、アーカイブが効果的であると指摘。シマンテックはこれらのすべてのソリューションをもっていると強調した。そして、有吉氏は、クラウドではこれらをシステムを止めることなく動的に実現することが重要だとした。
これらストレージに対する課題を解決するため、米シマンテックは今年の10月、スケーラブルNASのソフトウェア「Symantec FileStore」というソリューションを発表した。日本では来年の春から提供される予定だという。
このサービスは、Veritas Cluster File System、Veritas Cluster Volume Manager 、Veritas Cluster Serverというコアテクノロジーをベースに、アンチウィルス、バックアップ/リカバリー、アーカイブ、スナップショットなどが利用できる。ストレージの動的な追加や削除に対応でき、最大16ノード、2PBまで管理可能となっている。ユーザーはこれらのストレージがLAN上にあってもクラウド上にあっても、HTTP、FTP、CIFS、NFSのプロトコルによってアクセスできる。米国では2ノード、2CPUソケットで6995ドルから提供されているが、日本での価格や仕様は現在のところ明らかになっていない。ユーザーはこのソリューションにより、データ保護、セキュリティ、動的階層型ストレージ管理を統合的に行うことができるという。
また、セキュリティについて有吉氏は、今後オンプレミスとクラウドというハイブリッドのシステムへ移行していくなかで、セキュリティ、コンプライアンス、アクセスコントロールなどを、ユーザーがオンプレスミスか、クラウド上かを意識することなく、透過的に利用できることが重要だと述べた。そして、これまではシステムの入り口で保護していたが、今後は情報にフォーカスし、情報の重要度に応じた管理が必要だと指摘した。
さらに有吉氏は、サービスを選択する際の基準として価格だけに注目するのではなく、サービスレベルも評価項目に入れるべきと指摘。そして、安心/安全、安定、効率化の3つのポイントで、自社に本当な必要なサービスは何かを検討した上で、バランスをとって選択すべきだと強調した。