ルネサス テクノロジは12月10日、ルータやスイッチといったネットワーク機器分野向けに、データの送り先などを高速に検索するメモリ「TCAM(Ternary CAM)」として、汎用向けの「Standard TCAMシリーズ」を製品化。第1弾として、1テーブルあたり最大360Mspsの高速検索を実現した20Mビット容量のStandard TCAM「R8A20410BG」を開発、即日サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は3万円。
TCAMは、メモリ内に格納されているデータ列と、外部から入力されたデータ列が一致するかの比較を一斉並列に行えるため高速検索が可能。ネットワーク機器に用いられてきたBCAM(Binary CAM)がメモリセルに「0」と「1」を格納していたのに、3つ目の状態として「Don't Care (0 or 1)」を加えた検索用メモリで、ネットワーク機器のパケットデータの転送時など、大量データの送り先などを高速に検索できる特長を持つ。
同社では、これまで特定顧客向けにCustom TCAMを5年間以上製品化、量産してきたが、そこで培った技術力(独自開発したTCAMセル、検索回路、歩留向上回路など)と経験を基に、今回、汎用向けのStandard TCAMを製品化、さまざまなネットワーク機器への対応を可能とした。
同製品は、独自のCAMセルと検索回路により、高速検索を実現し、かつ低消費電力化が図られている。例えば、クロック最大動作周波数360MHz時に1テーブルあたり最大360Mspsの検索処理性能を実現。これにより、高性能な通信機器を実現することが可能となる。
また、検索条件に柔軟性を持たせ、検索のビット長を40L/H、80、160、320、480、640ビットから指定可能としているほか、4並列独立検索エンジンを搭載するなど、検索を高速化できる機能を備えているため、ローエンド機器からハイエンド機器まで、ネットワークの種類に応じた幅広い用途に適用可能となっている。
さらに、Xeleratedのネットワーク制御を行うNPU(ネットワーク・プロセッシング・ユニット)「HXファミリ」と直接接続してデータ検索を行うことが可能である。なお、今後、接続可能なNPU数を増やしていくとしている。