昭和電工は、従来品の表面粗度1~2.5nmに比べ、粗度を0.4nmに低減した4インチのSiCエピタキシャルウェハの量産に成功したことを発表した。
同ウェハは、SiC基板の表面上に単結晶SiC層を成膜させた半導体材料で、主にパワー半導体分野での適用が検討されている。パワー半導体としては、市販もされているSBD(Schottky Barrier Diode)と、開発が進められているMOSFETがあり、MOSFETではエピウェハ表面に形成する酸化膜をデバイス動作に用いることから、ウェハ表面の平滑性を高めることが求められていた。これまで、SiCエピウェハの表面にはステップバンチングと呼ばれる凹凸が存在し、良質な酸化膜を得ることは困難とされていた。
今回、開発された平滑度の高いSiCエピウェハにより、MOSFETおよび次世代インバータの実現が可能になると同社では見ている。
なお、同社ではSiCエピウェハのさらなる大口径化、低欠陥化および特性均一化の向上のほか、さらなる製造コスト低減に取り組むことで、大電流・高耐圧SiCパワー半導体普及に寄与するとともに、本格的な実用化が想定される2012年までにカスタマからの要請に対応できる供給体制を構築する計画としている。