12月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2009年11月度の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1,000件/6,908億5,500万円、商工リサーチの発表では1,132件/6,948億3300万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2009年11月度の全国企業倒産の件数は、前月比が6.5%減、前年同月比が1.0%減となった。3ヵ月連続で前年同月を下回り、9月(946件)に次いで今年2番目に少ない件数となった。同社では、エコカー減税・エコポイント制度などの消費刺激策に加え、緊急保証制度、公共工事前倒し発注などの政策が一定の効果を奏し、倒産減少につながったと見ている。ただし、負債5,000万円未満は453件と、前年同月比11.0%の増加となっており、小規模企業の資金繰りは厳しいようだ。
2009年11月度の全国企業の負債総額は、前月比は174.8%、前年同月比も27.7%の増加となった。5ヵ月ぶりに前年同月比を上回り、倒産1件当たりの平均負債額も6億9,100万円と、8ヵ月ぶりに6億円を上回る水準となった。
業種別では、7業種中5業種で前年同月比減少となった。運輸・通信業(35件、前年同月比7.9%減)とサービス業(168件、同11.1%減)は今年最低を記録し、建設業(239件、同8.4%減)でも減少が目立ち、5ヵ月連続の前年割れとなった。一方、製造業(177件)は前年同月比36.2%の大幅増加で、3ヵ月ぶりに前年同月を上回った。
同社は、今後の倒産動向に影響を与える注目点として、「個人消費の低迷やデフレ進行の長期化による企業収益のさらなる悪化」、「円高進行に伴う製造業を中心とする輸出産業の業績悪化」、「中小企業金融円滑化法、事業再生ADR、企業再生支援機構など各種支援策の活用状況」を挙げている。また、2009年の倒産件数の合計は11月の時点で1万2,285件に達しており、前年の1万2,681件を上回る1万3,000件台となる見通しだという。
商工リサーチの調査結果
2009年11月度上半期の倒産件数は、1,261件だった前月に対して10.2%減、1,277件だった前年同月に対して11.3%で、4ヵ月連続で前年同月を下回り、今年最少となった。ただし同社は、緩やかなデフレ傾向と急激な円高が進行し、景気の先行き懸念が高まっていることから今後の動向が注目されるとコメントしている。
2009年11月度上半期の負債総額は、2,903億4,300万円だった前月に対して139.3%増、5,760億520万円だった前年同月に対し20.6%増となり、6ヵ月ぶりに5,000億円を上回った。負債総額が増えた要因として、ロプロ(負債2,500億円)と穴吹工務店(同1,388億円)の大型倒産発生が挙げられている。この2件で負債総額の過半(55.9%)を占めている。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、9産業で倒産件数が前年同月比減少となった。増加したのは、農・林・漁・鉱業の37.5%増(8件から11件)だけだった。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、5地区で前年同月比減少となった。増加したのは、中部25.4%増(118件→148件)、北陸7.8%増(38件→41件)、東北6.2%増(48→51件)の3地区で、四国は前年同月同数の32件だった。都道府県別では、前年同月を上回ったのが15県、減少が30都道府県、同数が2県となった。この結果、前年同月比では5ヵ月連続で減少が増加を上回った。