マイクロソフトは12月1日、新たなベンチャー企業支援策として、ビジネスマネージメントのスキルアップ講座を無償提供する「マイクロソフト イノベーション アカデミー」と、マイクロソフトの最新技術のサポートと検証環境を提供する「早期採用支援」を、2010年1月より開始すると発表した。
同社ではこれまで、「Microsoft Innovation Award」によるITベンチャーの表彰、「Microsoft BizSpark」による開発環境の無償提供、自治体との提携による「ITベンチャー支援プログラム」という3つの施策を展開してきた。
「ITベンチャー支援プログラム」では、すでに16の自治体と提携し、70を越えるベンチャー企業を支援してきた。今回の2つの施策は、これらを補完するためのものだ。
マイクロソフト最高技術責任者 加治佐俊一氏は、「景気がいいときでも、悪いときでもベンチャー支援は大事だ。むしろ、悪いときにITベンチャーの活動が広がっている。IDCは、Windows 7の新しいテクノロジーによる売上げが、2009-2010年末にかけて2.3兆円になると予測しているが、ベンチャー企業が成長して、これらの市場に参入できるようになればいい。また今後、Azureによっていろいろな動きが出てくるだろうが、ITベンチャーは俊敏に動くことができるので、世の中を大きく活性化するような動きになればと思っている」と、ベンチャー支援の意義を語った。
加治佐氏は、ベンチャー企業が成功する重要なポイントは2つあると述べた。1つは技術的スキル、そしてもう1つがビジネススキルだ。つまり、斬新なアイデアや他社を上回る技術力があっても、事業計画の作成、資金繰り、パートナーとのネットワーク、財務、マーケティング、人材活用といったビジネススキルがなければ、ビジネスの継続性を保つことができないというわけだ。
マイクロソフトが新たに始める「マイクロソフト イノベーション アカデミー」は、このビジネススキルを伸ばすための支援プログラムだ。
具体的には、『ベンチャー失敗と成功の法則「勝つための戦略的事業計画の立て方」』『マーケティング発想と経営戦略』『なるほど納得! ITベンチャーの資金計画 A to Z』『リーダースキル強化』といった無償セミナーを2010年1月から毎月2つずつスタートする。各セミナーの定員はそれぞれ30名で、人気が高いものは継続して行っていくという。申し込みは、Webから行える。
もう一方の「早期採用支援」は、Windows 7やWindows Azureといったマイクロソフトの最新テクノロジーを利用した新たなソリューションの立ち上げを支援するものだ。
このプログラムでは、マイクロソフトの技術者による最大1カ月間のメールによるソリューション開発サポートや、東京大手町にある「マイクロソフト大手町テクノロジーセンター」におけるソリューション検証環境の利用が無料で行える。
申し込みは受付は、2010年1月よりメール(宛先:micjpn@microsoft.com )にて行い、面接を経たのち、支援対象者を決定するという。
加治佐氏は「オンプレミスとAzureのようなパブリッククラウドというハイブリッドの環境を検証することが重要だ」と、ソリューション検証環境リソース提供の重要性を訴えた。
また、12月1日には、3回目となる「Microsoft Innovation Award 2009」の表彰式も行われた。
今年は、名刺中心型のCRM&SFAを実現するSaaS型新世代ソリューション『名刺 SaaS 「Link Knowledge」』を開発した三三、PowerPoint 2007 のスライドショー実行時に、ノートの内容を合成音声で自動ナレーションを行う「リアルナレーターズ with JukeDoX」を開発したスカイフィッシュ、離れた場所にある部屋が、窓越しに、あたかもすぐ隣に存在しているかのような感覚を提供するインタラクティブ ウォール製品「WallThrough」を開発したマジックチューブ、本人の声で会話するクローンロボット「Sokkly」を開発したリトルアイランド、盗難/紛失したパソコン データを遠隔消去できるソリューション「トラストデリート」を開発したワンビの5社が優秀賞となり、Tech・Ed Japan 2009 参加者、マイクロソフト全社員による投票、マイクロソフト役員による最終選考によって、最優秀賞にはワンビが選ばれた。
ワンビの代表取締役社長 加藤貴氏は「マイクロソフトの方や、ワンビの社員には感謝している。 今回、Microsoft Innovation Awardに選ばれた方々とは、同級生としていっしょにがんばっていきたい」と述べた。