NECエレクトロニクスは、10BASE-T/100BASE-TX/FXに準拠し、高速通信やケーブル診断機能などを付加した産業機器向けイーサネットPHY(物理層)を開発した。
同PHYは、送受信回路の最適化により、ホストから受信した信号を次のネットワークに向けて送信するデータ処理遅延を最小化したことで、高速な送受信を実現することが可能。
また、産業ロボットなどにおいて求められるネットワークの迅速な接続、切断を行う切替をプロトコルの最適化により実現した「エンハンス・リンク制御機能」を搭載。
さらに通信品質を常時監視するケーブルモニタリング機能、信号の反射状況を調べてケーブルに発生した問題とその箇所を特定するTDR(Time Domain Reflectometer)機能を搭載することにより、通信品質の向上とメンテナンスの容易化を実現している。
加えて、タイムスタンプを付加したパケットを送受信することで、高い精度のクロック同期を実現。これにより、複数の産業機器の同期制御とリアルタイム通信が可能となっている。
こうした機能は、既存の産業用イーサネットであるEthernet/IP, SERCOS III, EtherCATやProfinetなどの産業通信プロトコルにも対応しているほか、PHYはIEEE802.3に準拠しており、高品質な産業イーサネット通信を実現する。
同社では、今回開発した産業用イーサネットPHYをV850や産業用ネットワーク用LSI「ERTEC」などのASSP製品と組み合わせて提供するほか、ASICのIPマクロとして使用することで、高度な産業通信システムの提案を行っていくとする。
なお、同PHYを搭載した製品の第1弾製品は2010年3月からサンプル出荷を、量産を2010年第3四半期からそれぞれ開始する予定としている。