IDC Japanは11月26日、今年6月に国内企業1,732社に対して実施した「国内ソフトウェア開発市場の実態調査」に関する結果を発表した。同調査によると、2009年の国内ソフトウェア開発者人口は全体で80万人以上と推計され、産業分野別構成比は、ソフト/情報処理/通信が51%、電気/電子/コンピュータ/通信機器/機械/機械部品/精密機械が21%となっている。
同社では、ソフトウェア開発者を中心とした市場ニーズ、ビジネス機会、人員不足やスキル不足という問題の深刻度を推察し、ITベンダーが十分にリーチできていなかった開発者を中心とした潜在顧客に対するアプローチ手段を検討する際の基礎データとして資するため、今回の調査を実施した。
同調査では、35歳以上の開発者が回答者全体の72%を占めており、次世代のICT産業を担うべき若年層の育成が遅れている実態が鮮明になった。個人年収は、700万円未満が全体の72%を占めており、ソフトウェア開発者のキャリアパス自体の見直しが迫られていると、同社では指摘している。ただし、金融/保険業は、中堅クラスのプロジェクトリーダー層の比率が高く、個人年収も相対的に高い傾向を示しているという。
ソフトウェア開発ツールの利用率は、種類によって2極化していることが判明した。利用率の高いツールは、開発環境(92%)、Web設計/開発ツール(74%)、ソフトウェア構成管理ツール(57%)となった。一方、利用率の低いツールは、モデル駆動型開発ソフトウェア(24%)、自動ソフトウェア品質ツール(19%)、要求管理ツール(9%)となった。
ITスペンディング リサーチマネージャーの笹原 英司は、「開発プロジェクトの問題点として、企画・設計などの上流工程に起因する問題点が多く挙がっており、モデル駆動型開発ソフトや要求管理ツールへのニーズは高いと考えられるが、導入の本格化には至っていない。プロジェクトの運営実務については人的リソースに関する問題が目立つことから、開発ツールベンダーは、上流工程の効率化を支援する機能の強化に加え、トレーニングやサポートなど、人的支援策を充実させるべき」と指摘している。