韓国に本拠を構えるFasoo.comは11月25日、都内で記者説明会を開催し、企業で利用されるファイルの安全性を確保する同社のEnterprise DRM製品を紹介するとともに、日本における事業戦略を発表した。
Enterprise DRMとは、マイクロソフトのOfficeファイルやPDFファイルなど、オフィスで利用されるファイルに対し、暗号化により文書を守り、アクセス/操作権限を付与することで文書利用をコントロールし、文書の利用履歴を追跡する機能を提供するものだ。
同社のEnterprise DRM製品はDRMサーバ、DRMクライアント、DRMパッケージャーから構成される。DRMサーバはポリシー管理、暗号化/復号化の鍵管理、使用権限付与などを行い、DRMクライアントはDRM文書の暗号化/復号化、使用権限によるアプリケーション制御を行う。文書を暗号化してDRM文書に変換するのは、DRMパッケージャーだ。
同社では、Enterprise DRM製品として、社内共有文書向け製品「Fasoo Secure Document」、外部送信/共有文書向け製品「Fasoo Secure Exchange」など、6製品を提供している。
代表取締役社長を務めるゾ・ギュゴン氏は、「現在、電子メールのセキュリティは送信時点までの対策となっており、送信/共有されたあとのファイルの漏洩に対する持続的な対策がまったくない」と述べた。
Fasoo Secure Exchangeは、外部に送信されるデータはすべて暗号化し、外部でもデータに付与された権限は持続される。つまり、同製品では、社外に送信される外部データに対して「持続的なセキュリティ」を与えることができる。
社外に送信されたデータの認証は、受信者のメールアドレスによって行われるため、ユーザーを管理する必要がない。このメールアドレスによる認証技術はすでに、韓国と日本で特許を取得しており、現在は米国で特許を取得しているところだ。
同社ではこのFasoo Secure Exchangeを日本市場で、SaaSとして提供することを計画している。提供先は、外部との情報交換が頻繁に行われるSMBや個人ユーザーに加え、他のSaaSプロバイダーも視野に入れている。
他のSaaSを対象とした「FSE Bridged SaaS」では、他のSaaSが提供するサービス上のファイルに対し、Fasoo Secure Exchangeの機能を付加して提供することが可能になる。
もう1つの日本市場における戦略は、Fasoo Secure Documentを他社の文書管理システムやコンテンツ管理システムに搭載して提供する「FSD-Embedded型」の提供の拡大である。同社はすでに日立システムアンドサービスのファイリングシステム「Millemasse」やマイクロソフトの文書管理プラットフォーム「Sharepoint」には同製品を提供している。
マネージング・ディレクタを務めるイ・サンミン氏は、E-DRMと他のデータ・セキュリティ製品との違いについて、「文書のライフサイクルは保存・転送・操作のフェーズに分けられる。コンテンツ・マネジメント製品やディスク暗号製品は保存、DLP(Data Loss Prevention)やネットワークトランスポートの暗号化は転送といった具合に、ライフサイクルの一部をカバーできるポイントツールでしかない。しかし、E-DRMは文書のライフサイクル全般にわたって、持続的なデータコントロールを保証する」と、説明した。