Siemensの産業オートメーション&ドライブテクノロジー事業部は、同社のマイクロプログラマブルコントローラ(マイクロPLC)「SIMATIC S7」コントローラとして、イーサネットを標準搭載した「SIMATIC S7-1200シリーズ」を11月25日より販売を開始することを発表した。価格は最小構成で2万3,000円(税別)からとなっている。

同製品は、従来機種である「SIMATIC S7-200」の後継機種にあたるもので、低コスト装置向けながらEthernetによる自動制御のシステム化、表示パネル利用によるオペレーションのビジュアル化、コントローラのコストパフォーマンス向上、プログラム資産の再利用性向上と標準化の実現などのニーズに対し包括的に対応している。

CPUモジュールに搭載されるEthernetポートは、すべて100Mbpsに対応しており、これによりPLC、表示パネル、設計ツールの接続にEthernetを活用することが可能となり、装置内外のネットワークを1本に集約することができる。

また、CPUモジュールはすべてデジタル入出力に加え、位置決め制御のための高速パルス入出力、アナログ制御のためのアナログ入力を標準搭載しているほか、点数を増設する場合の拡張モジュール、拡張ボードを備えており、装置設計の要求に柔軟に対応することが可能となっている。

さらに、制御プログラム設計の効率化を支援する統合ソフトウェア「STEP 7 Basic V10.5」が、マイクロPLCのプログラム編集のみならず、表示パネル画像編集、ネットワーク設定・構築など、制御設計に必要な機能を1つに統合。これにより、1つのデータベースで複数の編集機能を一元管理することが可能となり、設計効率の向上が可能となる。加えて、作業フローを考慮したポータル画面の採用により、初心者でも直感的に操作することが可能となっている。

同社のこうした取り組みについて、日本法人シーメンスのインダストリーセクター代表のオーラフ・ラーティエン氏は、「我々は"産業ライフサイクルの自動化"および"環境を常に配慮する"という2つを答えとして、システムの合理化に貢献することを目指しており、その結果として生産性や柔軟性の向上、効率の改善というカスタマニーズの実現を手伝う役割をになっている。これは結果として、カスタマのステークホルダに対して、競争力の提供、株主に対するパフォーマンス、持続可能な社会の実現というメリットをもたらすことになる」と説明する。

シーメンスの提供する2つの答えにより、カスタマは各ステークホルダに対するさまざまなメリットを得ることができる

また、単にハードウェアのみならず、シーメンスPLMソフトウェアのようなPLMとと組み合わせることで、「生産プロセスの全段階における診断や開発効率の向上が可能となるソリューションの提供が可能となっており、こうしたTotally Integrated Automation(TIA)というコンセプトにより、ビジネスニーズへの対応や装置とプロセス業務の最適化、技術投資および知的資本の保護、TCOコストの低減などが可能となるほか、ERPやManufacturing Execution Systems(MES)などすべてのレイヤが結ばれることにより、そのプロダクトに携わるすべてが、同じデータにアクセス可能となる」(同)とし、生産性、効率性、そして柔軟性へのさらなる対応が可能になると強調する。

TIAコンセプトにより、ビジネスニーズへの対応や装置とプロセス業務の最適化、技術投資および知的資本の保護、TCOコストの低減などが可能となる

なお、同氏は「我々は日本市場にコミットしており、今後も社内外のネットワークを強化していくことで、存在感を出していければ」とする期待を示している。