11月19日、つくばエクスプレス(TX)沿線を中心に起業家やベンチャー企業を育成、支援することを目的に設立された「TX アントレプレナーパートナーズ(TEP)」の設立記念シンポジウムが、千葉県柏市の東葛テクノプラザで開催された。
TX沿線は、つくばエリア、柏の葉キャンパスエリア、秋葉原エリアなどの先端技術を取り扱う研究施設や企業が数多く立地しており、国内外技術者・研究者が研究開発に従事し、居住するエリアともなっている。
TEPでは、このような環境を活かし、TX沿線一帯の起業家、研究者、法人支援者、インキュベーション施設、大学、行政とのネットワークを形成するとともに、地域の個人支援者との連携を図り、地域コミュニティー型組織として、日本・世界で活躍する起業家、ベンチャー企業の育成・支援を行う予定だ。
今後は、アントレプレナー会員、エンジェル会員、サポート会員、スポンサー会員の4部門で、資金提供を行う会員を募集。そして、これらの会員とTEP運営事務局、アドバイザリーボードメンバーの経済産業省関東経済産業局、茨城県、千葉県、柏市、つくば市、独立行政法人中小企業基盤整備機構関東支部、財団法人千葉県産業振興センター、柏商工会議所、株式会社つくば研究支援センター等が連携し、起業家・ベンチャー企業の育成・支援環境を創出する。
具体的には、研究者・起業家とビジネスパートナーのマッチング、その他人的資源の紹介による創業チーム組成・強化の支援、懇親会、代表・副代表主催ランチなどによる起業家のためのネットワーク構築の支援、起業家への創業上・経営上必要な知識の提供、個別相談を行うワークショップの開催、メディア等の紹介による起業家の対外的認知活動の支援などを行う。
元コンパック代表取締役社長でTEPの代表を務める村井勝氏は「技術、研究、特許は欧米に負けない数をそろえているが、先端技術を事業化、起業化する力は過去20-30年間弱っており、せっかくの先端技術も事業化できていない。つくばエクスプレス沿線には1万6000人の研究者が家族を含めて住んでおり、日本で最も科学技術が集積した地域だ。これらの研究者と柏地区の人たちが融合することによって新たな事業を始めることができる。単純な産官学の連携だけでなく、地元の人が応援する環境を用意し、国際的なベンチャー企業を育てたい」と述べた。
また、来賓で訪れた経済同友会 前代表幹事で日本IBM最高顧問である北城恪太郎氏は「日本の発展のためには新しい事業を始める人が必要だ。米国での経済の発展を見ると、Google、Yahoo!、Amazonはいずれもベンチャー企業で、日本でもソニー、パナソニック、ホンダなどもベンチャー企業から大きくなってきた。日本は創業するときに資金を集めることが難しいため、エンジェル税制という世界に類のない新しい税制を提言し、実現した。TX アントレプレナーパートナーズの設立によって新しく事業を始める人を応援するしくみができた。そして、これらのしくみによって誕生したベンチャーの人たちが、新しい雇用の場を作る、産業に貢献することは、少子化になりつつある日本にとって、非常に大事なことだ」と述べた。