11月18日(米国時間)、International Academy of Digital Arts and Sciences(IDAS)主催の「Webby Awards」が発表、2000 - 2009年の10年間においてインターネット上で起きた最も重要な出来事として、10トピックが公表された。なかには日本人にはなじみの少ないものも含まれているが、ここ10年でインターネットが社会に及ぼす影響がいかに大きく深くなったかを示すヒストリとして眺めると興味深い。

Craigslistがサンフランシスコ以外に進出(2000年)

サンフランシスコでスタートしたフリーの掲示板サービス"Claiglist"は2000年、米国内のその他9都市に進出を果たした。現在は50カ国500以上の都市でサービスを提供中、求職/不動産情報など、地域の住民に役立つ情報をフリーで提供している。

Google AdWordsがローンチ(2000年)

2000年10月にスタートしたAdWordsにより、Googleはオンライン広告のトップに立ち、以来、独走を続けている。業種や事業規模にかかわらず誰もが利用できる市場でありながら、広告主に顧客の正確なターゲティングを提供した功績は大きい。

Wikipediaがローンチ(2001年)

もはや知らない人のほうが少ないのでは? というくらい普及したオープンソースのオンライン百科事典。最初の1年は、約2万の記事が18カ国語で提供されていた。そして現在は、1,400万の記事が271の言語で掲載されている。誰もが利用でき、また、誰もが情報提供者になれるという、インターネットのパワーを改めて知らしめたコラボレーションサービスの決定版。

Napsterがサービス停止(2001年)

著作権侵害を訴える音楽レーベルや権利団体の強い反発により、Napsterは2001年にサービスを停止した。だが、実はこれがファイル共有サービスの"終わりのはじまり"だったのかもしれない。その後、Hulu、iTunesのサービスインから、英国のロックバンドRadioheadによるアルバム「In Rainbow」のフリー配布など、音楽レーベルのあり方すら問われる事態へと発展していった。

GoogleがIPO(2004年)

設立からわずか6年後にGoogleがIPOを果たしたことは、インターネットの歴史上最も大きな出来事だといえるかもしれない。GmailからYouTube、Google Maps、そしてAndroidに至るまで、Googleはイノベーションの歩みを決して止めることがない。彼らが作り出した技術は現在、我々の生活に深く根付いている。

オンラインビデオ革命(2006年)

2006年はオンラインビデオが爆発的な普及を果たすのに、あらゆる面で良い条件 - ブロードバンドが速く&太くなり、ビデオカメラが安くなり、Adobe Flash Player 9がほとんどのPC上に行き渡っていた - が揃っていたといえる。この機に乗じてYouTubeがサービスイン、あっという間に幅広い層のユーザの心をつかみ、ありとあらゆるコンテンツが投稿されるようになったのは周知の通りである。

Facebookが大学生以外にもサービス拡充、Twitter始動(2006年)

2006年9月、ハーバード大学で生まれたFacebookは、大学生のためのSNSから、13歳以上で、メールアドレスをもっている人なら誰でも使えるSNSへと変化を遂げた。それから約1カ月後、Twitterのクリエータたちが、出資者から会社とその資産をまるごと買い取り、2007年のサービス立ち上げに備え始めていた。現在、ソーシャルメディアの2大サービスである両者がほぼ同じ時期に大きな転換期を迎えていたというのが興味深い。

最初のiPhoneが登場(2007年)

最初のiPhoneが登場した日は2007年6月28日、その週末までに約50万台を売り上げた。これは"スマートフォン"が贅沢品から一般の人にとっての必需品へと変わった瞬間でもあった。iPhone OS、そしてアプリケーションを電話というデバイスに自由にダウンロードする仕組み(App Store)は、Google Androidなど後発のモバイル技術に大きな影響を与えた。

米大統領選キャンペーン(2008年)

40年前にテレビというプラットフォームで繰り広げられたケネディ vs. ニクソンの闘い - 2008年、これを彷彿とさせるような選挙戦が、舞台をインターネットに移してふたたび展開された。オバマを勝手に応援する"オバマガール"のビデオや、オバマと旧知のライト牧師の問題発言をクリッピングした画像がYouTubeで公開されたり、かつてないほどの額 - ごく小口のものから莫大な金額まで - がネット経由で寄付されたりと、大統領選挙にまつわる多くの出来事がインターネットと関わりをもっていた。

イラン大統領選の抗議活動(2009年)

2009年に行われたイラン大統領選の結果に不正な臭いを嗅ぎとった人びとが、いっせいにつぶやきはじめた - イランの"Twitter革命"が誕生した瞬間である。Twitterのつぶやきと抗議活動が相乗効果で互いに活発化し、激しいデモンストレーションの模様がYouTubeなどに投稿されたのはまだ記憶に新しい。つぶやきの数があまりにも膨大で絶え間ないため、抗議活動を後押ししたい米国務省はTwitterに対し、同社が予定していたサーバのメンテナンス作業を延期するように要請したと言われている。