米Microsoftは11月18日(現地時間)、米ロサンゼルスで開催中の開発者会議「Professional Developers Conference(PDC) 2009」で次期Webブラウザ「Internet Explorer (IE) 9」の開発初期版のデモを初公開した。
IE開発は、Windows 7の一般発売後にIE9プロジェクトに移り、同日のデモはプロジェクト開始からわずか3週間の成果だった。Windows and Windows Live担当プレジデントのSteven Sinofsky氏によると、IE9の開発においてもセキュリティ、信頼性、バックワード互換の実現を重視する。近年JavaScript実行速度のベンチマークとAcidテストをWebブラウザ評価の目安とする傾向が強まっている。これに対してMicrosoftは、Web全体を快適に利用するためには様々な角度からのテストが必要であると、IE8の開発を通じて主張してきた。一部のベンチマーク・テストだけでは、ユーザーの実際の利用環境でのパフォーマンスは測れないというわけだ。こうした姿勢もIE9開発に引き継がれている。
その上で、ユーザー、開発者やパートナーからの要望、Web利用の変化を考慮し、IE9では先進的な機能もバランスよく盛り込む。現時点で、そうした機能強化ポイントとして、JavaScriptパフォーマンスの向上、HTML5を含む標準サポート、ハードウエアアクセラレーションを利用したレンダリングなどが挙げられた。
IE7やIE8のJavaScript実行速度はFirefoxやChromeに遠く及ばないのが現状だが、IE9はSunSpiderベンチマークでFirefox 3.6に近い数字に達している。Acid3テストはIE8のスコアが"20"、IE9が18日時点で"32"だ。まだまだ低いものの、わずか3週間である。改善の意欲は伝わってくる。CSS3.infoのCSS3 selectorsテストでは、43セレクターで39がパスした(IEBlogでは41パスになっている)。
Windows用のWebブラウザとして、MicrosoftはIEにおけるWindows APIのDirectXファミリーの活用方法を変える。まずはDirect2DとDirectWriteを用いて、グラフィックスやテキストのレンダリングにグラフィックスチップを利用、CPUの負担を軽減する。Bing Mapsを使った比較では、15fps以下だったグラフィックスのレンダリング性能がハードウエアアクセラレーションをオンにすると60fps以上に向上。マップの拡大/縮小や移動の際のぎくしゃくした動きが解消された。