大日本印刷(DNP)は11月17日、ICカード用のセキュリティOS「MULTOS」を搭載したmicroSDカード(2GB)を開発したことを発表した。
MULTOSは、ICカードとして、キャッシュカードやクレジットカード、電子マネー、ポイントサービス、ネットワーク認証などの用途で使用されているOS。MULTOSを搭載したmicroSDカードを電子機器に装着することで、既存のアプリケーションを有効活用しながら、よりセキュリティ性の高い認証や決済を利用することが可能になるという。
暗号としては、RSA暗号2048bitやAES暗号、SHA256に対応しているほか、電子マネー、クレジット、ポイントなどの金融系アプリケーションや、ネットワーク認証で使用されるPKIなど、セキュリティ性の高いアプリケーションの搭載が可能だ。
これにより、モバイル機器に認証や決済、暗号化などの機能を追加することが可能となる。そのため、これまでICカードと専用リーダーライタを必要としていたサービスを、microSD用のスロットのみで利用することができるようになる。
例えば、モバイル機器から、会員制サイトなどへアクセスする際、電子証明書の機能を利用することで、安全にサイトへログインできるようになるほか、電子マネーやポイントなどを利用する際のオンラインショッピングの安全化、有料放送などの課金サービスを利用する際の、加入者識別用モジュールとしての活用などが可能となる。
さらに、将来的には、ICカード機能付のスマートフォンなどの機種変更を行う際に、そのスマートフォンで使用しているアプリケーションとICカードデータを一括で他の機種に移行するためのメディアとしての利用が可能になるとしている。
なお、今後、同社では、同microSDカードの活用に向け、市場調査やマーケティングを行っていくほか、2010年度に、企業の社外で利用するパソコンのセキュリティ向上やデータ漏洩防止に関する実証実験を開始する予定としており、この実験で得られた情報から、市場・ユーザーのニーズに合わせた製品ラインナップの展開を行っていくとし、同microSDカードおよび周辺ビジネスとして、2012年度までに約50億円の売り上げを見込んでいる。