イーソルは11月12日、マルチコア対応リアルタイムOS(RTOS)「eT-Kernel Multi-Core Edition」を中核とするT-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」が、NECエレクトロニクス製ARM11 MPCore搭載カーナビ向けシステムLSI「EC-4260」(NaviEngine-MID)をサポートしたことを発表した。

eT-Kernel Multi-Core Editionを利用することで、EC-4260上で対称型マルチプロセッシング(SMP)と非対称型マルチプロセッシング(AMP)を組み合わせたソフトウェア設計が可能となる。このため、シングルコアプロセッサ向けのソフトウェア資産を再利用した開発期間の短縮とコスト削減を実現しつつ、マルチコアプロセッサによる性能を引き出すことができるシステムを開発することが可能となる。また、システム保護技術により、システムの信頼性を向上することが可能である。

eCROSは、4つのスケーラブルなプロファイルをもつT-Kernel拡張版「eT-Kernel」を中心に、開発ツール、各種ミドルウェア、およびプロフェッショナルサービスから構成される組み込みシステム向けソフトウェアプラットフォーム。コアとなるeT-Kernel Multi-Core Editionは、独自の「ブレンドスケジューリング」技術により、3つのCPUコアをもつEC-4260上でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させることが可能だ。これにより、プログラム処理の負荷を複数コアに分散させて高スループットを達成できるSMPのメリットと、シングルコアと同じ環境を作り出しリアルタイム性能の保証ができるAMPのメリットを1つのシステム内で実現することができる。

eT-Kernel Multi-Core Editionは、T-KernelのAPIに加え、POSIX仕様準拠のAPIも提供するほか、システム保護技術「eT-Kernel Multi-Core Edition Memory Partitioning」により、異なるレベルの信頼性をもつプログラム間のメモリ破壊と、OSの心臓部分であるカーネルの破壊を防止できるため、信頼性が高いマルチコアシステムを構築することが可能。また、マルチコアプロセッサ向けソフトウェア開発で重要なマルチプログラミングをサポートする開発ツール「eBinder」を利用することで、EC-4260のソフトウェアを効率的に開発することができる。

なお、eCROSは、従来品である「NaviEngine 1」に対応しており、今回はそのノウハウと実績をベースに、EC-4260対応が行われており、EC-4260対応としてOSや開発ツールに加え、USBホストスタックやSDメモリカード用ドライバを含む、EC-4260内蔵周辺コントローラに対応した各種ミドルウェアとドライバが揃えられている。