スイスの周辺機器メーカーLogitech Internationalは11月11日(現地時間)、ビデオ会議システムのベンチャー企業である米LifeSize Communicationsの買収を発表した。買収総額は4億500万ドルで、全額キャッシュでの支払いとなる。

高精細なHD画質の会議システムを安価で提供することでシェアを拡大してきたLifeSizeだが、以後はLogitechと共同で大規模環境からPCベースのものまで、幅広いソリューションをカバーしていくことになる。

LifeSizeは米テキサス州オースティンに本拠を置く2003年設立の企業で、同社CEOのCraig Malloy氏ら創立メンバーの一部はビデオ会議システム最大手の米Polycomの出身でもある。Malloy氏が設立したViaVideoというビデオ会議システム開発企業をPolycomが1998年に買収したことで同社に参加していた。LifeSize設立以後は、それまで業界では少なかったHD画質の製品に注力し、積極的な価格攻勢でPolycomや、先日Cisco Systemsが買収を発表したTandbergなどとシェア争いを繰り広げている。

LifeSizeは現在では80の国に9000以上の顧客を抱えている。2009年の売上はおよそ9000億ドルを見込んでおり、2010年には40-60%程度の売上増加を見込んでいるなど、急成長中の企業だ。LifeSizeは非公開企業だが、Dow Jones VentureWireによれば、同社には8000万ドルのベンチャー投資が行われており、今回のLogitechが提示した4億500万ドルという買収価格は大きな躍進を意味する。それだけビデオ会議システム業界の盛り上がりと、今後の同社の成長への期待が高いという裏付けだろう。

なお、買収完了後もLifeSizeは独立企業体としてLogitechとは分離して運営される。両社によれば、一般企業から公共セクター、中小企業(SMB)まで、共同で幅広い顧客ソリューションをカバーしていくのが狙いだという。