米Hewlett-Packard (HP)がネットワーク機器ベンダーの米3Comを買収する。米国時間の11月11日、両社による買収契約合意が発表された。HPは1株あたり7.90ドル、総額およそ27億ドルを現金で支払う。合意条件はすでにHPと3Comの取締役会の承認を得ており、取引は2010年前半に完了する見通しだ。
3Com買収を通じてHPは、イーサネットスイッチ製品の拡充、ルーティング・ソリューションの提供、中国市場におけるプレゼンス強化などを図る。2005年に3Comが買収したIPSベンダーTippingPointのソリューションはFortune 1000企業の約30%に採用されており、HPは「最善のネットワークセキュリティがもたらされる」と強調している。こうした資産は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを組み合わせたインフラ上で展開する次世代のデータセンター戦略にも活かされる。
Robert Metcalfe氏らによって1979年に設立された3Comは、ネットワーク機器メーカーの草分け的存在として草創期のシリコンバレーを代表する企業の1つだった。だが、ネットワーク機器市場での競争が激化した90年代に失速。2003年にシリコンバレーから米マサチューセッツ州マールボロに本社を移転してからは、主にアジア市場開拓に努めてきた。2007年に独立系投資会社Bain Capital Partnersによる3Com買収の合意が発表されたが、中国の通信事業者Huawei Technologiesの資本参加を警戒した米財務省の対米外国投資委員会(CFIUS)によって差し止められた。