日本オラクルは11月11日、9月に米国で発表したデータベースマシン「Sun Oracle Database Machine」およびそれをベースにしたデータウェアハウス&OLTP向けシステム「Oracle Exadata V2」を発表した。Oracle初のハードウェア製品となった第1世代のExadataはHewlett-Packardとのコラボレーションだったが、今回のパートナーは現在、Oracleが買収/統合を進めているSun Microsystemsという点も注目される。

日本市場でも発売が開始されたSunと共同開発の「Oracle Exadadata V2」(東京・青山の日本オラクル本社にて)

「Exadataは我が友人」と公言する日本オラクル 代表執行役社長 遠藤隆雄氏

日本オラクル 代表執行役社長 遠藤隆雄氏は、Exadata V2の革新性について、「想像もしなかったことができるようになる、それがイノベーションの果たす役割。現在、市場はかつて考えられもしなかった情報量の増大がつづき、それに伴うパフォーマンスの高速化が求められている。Exadataはすでにその先を行っているイノベーション」と語り、「この製品をもって、日本企業が次の一歩を踏み出せるようにしていきたい」とする。

同製品の発表には、米Oracleよりデータベースサーバ技術担当シニアバイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏が来日して説明を行った。同氏は、「Exadata V2は、データウェアハウスに加えOLTP(オンライントランザクション処理)においても"エクストリームパフォーマンス"を顧客に提供できる世界最速のデータベースマシン」と絶対の自信を見せる。

Sunとのパートナーシップにより生まれた、Oracle DBのために設計されたこのデータベースマシンの最大の魅力はその超高速性にある。第1世代でも高速性を最大のセールスポイントにしていたExadataだが、第2世代では、Sun開発のFlashFire技術をベースにした5TBのフラッシュストレージ「Exadata Smart Cashe」を採用、アクセス頻度の高いデータのみをキャッシュするという構造によりOLTPの高速化が実現した。ランダムI/Oは「1秒間に100万回以上」(メンデルソン氏)を達成できるという。また、データ圧縮技術「Hybrid Columnar Compression」により、フラッシュストレージに格納できるデータ容量は50TB以上、検索スピードは500GB/秒を実現、これは「たいていの顧客が必要としている容量/性能を十分に上回る」(同氏)数値だという。

米Oracleでデータベース部門のトップを務めるアンドリュー・メンデルソン氏

この技術で何が可能になるのか。日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏は「50TBものデータがフラッシュに載れば、すべてのOLTPがハードディスクを介さずに済む - これまであり得ないと思われていた高速化が現実のものになる」とする。「データベース市場は今まで、データウェアハウス市場、バッチ処理システム市場、オンライントランザクションシステム市場、データベースコンソリデーション市場、などと分かれていたが、そんな時代はもう終わる。データベースはデータベースであり、1つのシステムですべてが解決するのが本来のあり方」(三澤氏)とする。そしてその先鞭をつけるのがExadata V2だというわけだ。

「すべての顧客が必要とするデータベースワークロードをすべて走らせることができる唯一の、"ユニーク"な、はじめてのマシン」 - メンデルソン氏はExadata V2を総括してこう表現した。データウェアハウジングに特化した印象が強かった第1世代に比べ、OLTPを含むありとあらゆるデータマネジメントに超高速性を付与する - それが第2世代の圧倒的な競合優位だという。高速性能が生み出すコストパフォーマンスの高さにも自信を隠さず、「IBMのハードウェアコストの1/5」(メンデルソン氏)としている。

日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏

奇しくもSunの買収に関して、EUから懸念を示されたばかりのOracleだが、同社は合併破談などまったくあり得ない事態としてSunとのコラボレーションを各方面から積極的に進めようとしている。とくにExadataは、第1世代でハードウェアパートナーだったHPを、わずか1年あまりでSunに替えた。これからHPが強力なライバルに変わることをも覚悟しての発表である。Sun買収を成功裏に完了するためにも、Exadata V2は同社にとって失敗の許されない市場投入となる。

日本市場の提供価格は、最も標準的な構成のクォーターラック(データベースサーバ×2台/ストレージサーバ×3台)で3,995万円から。そのほかにベーシックシステム(データベースサーバ×1台/ストレージサーバ×1台/ラックなし)、ハーフラック(データベースサーバ×4台/ストレージサーバ×7台)、フルラック(データベースサーバ×8台/ストレージサーバ×14台)の構成が用意されている。