三菱電機は、鉄道車両が減速する際の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として最適に貯蔵し有効活用する電力貯蔵システムと、鉄道車両内と地上設備の電力貯蔵デバイスの設計を最適化できるシミュレーション技術を開発したことを明らかにした。
同技術では、回生エネルギーを有効利用するために、車両と地上それぞれの電力貯蔵デバイスに最適な蓄電池の容量配分や設備の最適配置を検討する際、車上・地上システムを統合的にシミュレーションできる技術を開発した。同シミュレータは路線や車両性能、運転条件などさまざまな条件に対応して、効率的な電力貯蔵システムの設計・検討が可能で、鉄道事業者の導入コストを最小限に抑えつつ、エネルギー効率の向上に結びつけることが可能だ。
同電力貯蔵システムでは、発生した回生エネルギーを無駄なく有効利用が可能で、従来電力を使う先が無い場合、回生ブレーキから機械ブレーキに切替えると、車両に衝動が発生することがあったが、それを抑制し車両乗客の乗り心地向上も図ることが可能となっている。
また、電化区間と非電化区間が混在する路線を走行する車両に電力貯蔵デバイスを搭載すると、電化区間走行中に回生エネルギーを蓄電池へ充電して、架線と蓄電池の電力配分を最適に調整しながら走行する架線ハイブリッド制御を行い、非電化区間となった場合は蓄電池の電力を使用してそのまま直通運転することが可能。回生エネルギーを有効利用できるとともに従来非電化区間で使用していたディーゼル機関よりも環境負荷を軽減することができるものと期待されている。
なお、同蓄電池駆動電車システムは、東日本旅客鉄道(JR東日本)の「NE(New Energy)Train」に搭載され、2009 年10月から走行試験が行われており、三菱電機では、鉄道事業者のフィールドでの試験に協力することで、早期の実用化を進めたいとしている。