米Appleは2009年第3四半期において、フィンランドのNokiaを抜いて世界で最も高収益な携帯電話メーカーになったことがわかった。英Reutersが調査会社Strategy Analyticsの11月10日(米国時間)付けのレポートを引用して伝えている。Appleが同業界で首位に立つのは初のこと。

同社は2007年半ばに携帯電話市場に参入したばかりの新参メーカーだが、同四半期のiPhone販売台数が740万台に達するなど、好調さを見せている。Appleは各事業ごとの業績の詳細を明らかにしていないものの、Strategy Analyticsの試算によれば、同四半期のiPhone販売での営業利益16億ドルに到達するとみられ、同期におけるNokiaの11億ドルという数字を大きく上回る。Strategy AnalyticsのアナリストAlex Spektor氏は「端末出荷数、大量販売による価格付け、厳しいコスト制御が、わずか2年で同社を携帯電話業界での成功者に導いた」と分析している。

なお、Appleによれば同四半期のiPhone売上は45億ドルだったという。一方でNokiaは1億850万台の端末を販売し、総売上は69億ユーロ(約103億6000万ドル)であり、実際の利益は経済不況を反映して大きな打撃を受け、特に米国での落ち込みが激しかったという。Nokiaは現在でも台数ベースでの世界シェアを40%で維持しているが、米国での市場シェアはすでに10%未満に落ち込んでいる。

スマートフォン市場で劣勢に追い込まれたNokiaだが、攻められる一方ではない。同社は先週、LinuxベースのMaemoを搭載したN900シリーズの最新端末を発表している。今年は全体に携帯電話市場が振るわなかった年でもあり、こうした新製品を軸に同社は2010年以降の再起にかけている。また同時に、NokiaはAppleに対しての特許侵害訴訟を起こしている。こうした戦略の数々が逆転現象を克服できるのか、来年以降の注目ポイントだろう。