11月10日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2009年10月度の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1,070件/2,513億9,400万円、商工リサーチの発表では1,261件/2,903億4,300万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2009年10月度の全国企業倒産の件数は、前月比が13.1%増、前年同月比が13.1%減。今年最低だった前月を上回ったものの、集計基準変更後で最多(当時)となった前年同月と比べ13.1%下回り、2ヵ月連続の前年同月比減少となった。

2009年10月度の全国企業の負債総額は、前月比が29.8%減、前年同月比74.3%減となった。今年最小だった8月の2,753億4,400万円を下回り、集計基準変更の2005年4月以降でも最少を記録した。倒産1件当たりの平均負債額も2億3,500万円と、8月の2億6,400万円を下回って最低を更新するなど、負債総額は縮小傾向が続いた。

全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、集計基準変更後で初めて全業種で前年同月を下回った。特に不動産業(28件)は前年同月比41.7%の大幅減少で、2008年3月以来1年7ヵ月ぶりの20件台となった。また、小売業(181件、前年同月比21.6%減)、運輸・通信業(39件、同26.4%減)でも減少が目立った。一方、建設業(295件、同9.0%減)が、前月比では35.9%の大幅増加となった。

同社では、10月16日に業務を開始した過剰債務企業の再建を目的に設立された企業再生支援機構の影響からも、大型倒産沈静化の流れは当面続く可能性が高いとしている。一方、「雇用環境や所得の悪化」、「補正予算見直し」、「新型インフルエンザ」など、内需停滞を通じて倒産増加につながる懸念材料は山積しており、需要減と単価下落に苦しむ小規模企業を中心に予断を許さない状況が続くと指摘している。

商工リサーチの調査結果

2009年10月度上半期の倒産件数は、1,155件だった前月に対して9.1%増だが、1,429件だった前年同月に対しては11.7%減と、3ヵ月連続前年同月を下回ったことになる。

2009年10月度上半期の負債総額は、3,087億7,100万円だった前月に対しては5.9%減と微減となったが、1億77億1,500万円だった前年同月に対しては71.1%減と、大幅に減少した。これは前年同月には、大和生命保険(負債額2,695億円)、上場企業のニューシティ・レジデンス投資法人(同1,123億円)を含めて負債100億円以上の大型倒産が12件発生したのに対し、当月は2件にとどまったことが影響しているという。

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、7産業で倒産件数が前年同月比減少となっている。増加したのは、情報通信業21.4%増(42件→51件)、金融・保険業16.6%増(6件→7件)、サービス業他10.2%増(235件→259件)の3産業。

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、7地区で前年同月比減少となった。増加したのは、四国9.5%増(42件→46件)と中部8.3%増(143件→155件)の2地区だった。都道府県別では、前年同月を上回ったのが13府県、減少が29都道府県、同数が5県となった。この結果、前年同月比では4ヵ月連続で減少が増加を上回った。