LiMo Foundationは11月9日、都内で説明会を開催し、同ファウンデーションの活動状況の報告を行った。LiMo Foundationは、Linuxをベースとした携帯電話向けソフトウェアプラットフォームの構築を目指し2007年1月に発足した団体で、端末メーカーのほか、キャリアやソフトウェアベンダといった業界に関係する企業で構成、これまで44機種が発売され、その内34機種がNECおよびパナソニックからNTTドコモ向けとして提供されてきた。

LiMo Foundation チェアマンの永田清人氏

同ファウンデーションのチェアマンである永田清人氏は、LiMoの存在が日本のモバイル業界において、「海外のさまざまな主要キーパーソンとのビジネス機会の拡大や、グローバルプラットフォームの構築が容易になることにより、日本発の技術を世界展開しやすくなるなどの利点がある」と説明する。

また、LiMoプラットホームのリリース第2版(R2)が2009年5月に完成、同規格を用いた携帯電話としてSamsung Electronicsが2009年9月に発表、同10月よりVodafone向け端末「Vodafone 360 H1」「同M1」として販売を開始するなど、新たな端末メーカーからも端末が登場してきている。

LiMo端末各種(今回新たにSamsungの端末が追加された)

LiMo FoundationのExecutive DirectorであるMorgan Gillis氏

こうした動きに対し、同ファウンデーションのExecutive DirectorであるMorgan Gillis氏は、「4Gへの対応や新興市場、モバイルブロードバンドの拡大、アプリケーションストアの登場といった新規分野への投資圧力が増大しており、そうした投資負担はキャリアに圧し掛かる問題となっている。しかし、キャリア間の競争は激化しており、新たな付加価値をいかにユーザーに提供するかが問題になっており、そうした付加価値の提供により既存ユーザーが離れていく危険性もあるわけだが、そうしたキャリアとエンドユーザーの価値をつなぐ役割をLiMoが担ってきた」と、LiMoの役割が増していることを強調する。

特に同ファウンデーションが設立されてからの2年で携帯電話市場は大きな変化が生じていることを指摘、サービスの提供モデルとしては、「iPhoneのような端末ベンダが固有でサービスを提供する形態のプラットフォーム」「AndroidやWindows Mobileといったソフトウェアメーカー提供によるプラットフォーム」「どの会社にも依存しない独立系の中立的なプラットフォーム」の3つに分かれており、それぞれに特長があるが、Morgan氏は「端末ベンダのサービス提供形態ではキャリアとしての価値が付けづらく、ソフトウェアメーカーに依存したプラットフォームでは関わるキャリア、端末メーカー、プラットフォーム提供者の間で調整を行ったうえでブランドとビジネスモデルを提示し、その後ユーザーとのつながりをいかにするかが問題となるが、独立したプラットフォームを活用することで、キャリアや端末メーカーは、それぞれのブランド戦略を確立しやすい」と、ベンダ側の立場としては、残り2つのプラットフォームに比べ非常に有効なものになると指摘する。

LiMoプラットフォームとその他のプラットフォームの差異

こうした取り組みの成果が、今回発売されたSamsungの端末「Vodafone 360 Samsung H1」と「同M1」であり、「Vodafoneが携帯電話のプラットフォームとしてLiMoを選定したのは、OS上にVodafone独自の多くの機能やサービスなどを搭載可能であるという点であり、こうしたサービスセントリックな手法はすでに日本では4~5年以上前から当たり前に行われてきたことであり、それがモバイルネットワークの拡大の下地となってきた。Samsungのような海外ベンダが端末を出したことは大きな意義があり、今後は世界中で日本のような多機能な携帯電話を活用したビジネスが展開されるものと思っている。そうした意味では、日本がこれまで培ってきたノウハウを生かして海外展開ができるようになってきたのではないかと思っている」とMorgan氏は語っており、それにより、日本と海外という垣根を越えて、世界展開が無理なく行えるようになるのではないかとの希望を示した。

LiMo R2を搭載した初の携帯電話となった「Vodafone 360 H1/M1」

Net Touch Liteの操作画面。使いやすいインタフェースも魅力的