NECとNECエレクトロニクスは、LSI内蔵技術、微細配線形成技術、高精度搭載・位置計測技術を応用して、次世代の高密度集積回路である28nmプロセス世代以降の狭ピッチ・多ピンのパッドを有するシステムLSIに対応するLSI内蔵パッケージ技術「SIRRIUS(Seamless Interconnect for Re-Routing LSI Using Substrate technology)」を開発したことを明らかにした。11月4日(米国時間)で開催された「42nd International Symposium on Microelectronics (IMAPS 2009)」にて発表された。

同技術は、ゲーム機や液晶テレビ、DVDレコーダなどの画像処理部に必須となる次世代高集積LSI向けのもので、パッケージの厚さを従来型FCBGAパッケージ比で約1/4にすることが可能ながら、シンプルな製造プロセスによる低コスト化と鉛フリー化を実現できるのが特長。

50μmまで薄化したLSIチップの高精度搭載技術に、レーザビアなどに関する位置計測技術を組み合わせることで、現状のFCBGAパッケージでは実現不可能な、エリア配列で80μmピッチ4列というパッドピッチのLSIの内蔵を実現。内蔵プロセスには、低粘度のエポキシ樹脂を用い、チップ上の樹脂膜厚を最適化することで、内蔵用キャビティなどをあらかじめ設けることなく1回のラミネート工程によりLSIの埋め込みを実現している。

また、厚さ0.5mmの高剛性な銅板をベース基板として採用することで、搭載するLSIの薄型化を実現(厚さ50μm)。これにより従来のFCBGA比1/4の薄さを実現したほか、これまで確認していたパッケージ単体信頼性に加え、新たにマザーボードに実装後の2次実装信頼性を評価し、31mm角、900ピンの大パッケージにおいても、-40℃/+125℃の温度サイクル試験で1,000サイクルを達成したという。

さらに、パッケージ配線の全層をレーザビアで接続することにより、多層配線のシンプルなプロセスフローを構築。これにより、従来のような複数のプロセスでパッケージ化する手法ではなく、微細接続ながら、多層化を実現。これにより、従来のFCBGAパッケージに比べて使用材料とプロセス装置を削減し、シンプル、低コストを実現したほか、パッケージ全体での完全鉛フリー化も実現している。

なお、これらの成果は、2社が共同で研究してきたパッケージ製造技術によるもので、今回、新たに開発した高精度搭載技術・位置制御技術、樹脂によるLSI内蔵技術などを組み合わせることで、従来以上の狭ピッチ化への対応に対する見通しが得られたものであり、2社は今後も、同技術を用いたシステムLSIのさらなる性能向上を目指して、研究開発を進めていくとしている。