パナソニックは、2010年2月にカナダ・バンクーバーで開催される第21回オリンピック冬季大会「バンクーバーオリンピック」に協賛。同オリンピックにおける機器の納入状況および同オリンピックを活用したマーケティング活動について説明した。

パナソニックは、冬期大会では1988年のカルガリー冬季オリンピックから、オリンピック最高位のスポンサーであるTOP(The Olympic Partner)スポンサーとして協賛しており、今回のバンクーバーオリンピックでは、日本の企業としては唯一のTOPとして、冬季大会初の「HDオリンピック」の実現を支援することになる。

2008年の北京オリンピック同様、国際放送センター(IBC)から各国の放送局に配信される国際映像信号がHD規格で制作されるほか、開会式や閉会式、競技場内の大型画面にもHD映像信号が配信されなど、すべての映像がHDとなる。

パナソニックは、TOPスポンサー契約商品カテゴリーとして、AV機器、AV機器メディア、カーマルチメディア、AVセキュリティシステムに加え、今回の大会から、新たなデジタルスチルカメラも対象カテゴリに加わり、これら製品のプロモーションなどにおいて、五輪マークおよびオリンピックの公式称号、大会組織委員会のマーク、マスコット、各国五輪委員会のマークなどを利用することができる。

マーケティング活動のコンセプトとして、「Sharing the Passion」を掲げており、「パナソニックは、HD技術によって、会場での情熱、感動を演出し、トップアスリートの緊張感と感動を放送技術で世界中に届け、さらに家庭で、感動を再現することができる唯一の企業となる」(パナソニックのF1・オリンピック推進室・布谷彰室長)とする。

パナソニックは、カルガリーオリンピックから公式スポンサーとして支援

今回のマーケティングのコンセプトは「Sharing the Passion」

オリンピック会場においては、CEATECなどで展示した103インチのフルHD・3Dシアターを設置し、オリンピックのハイライトシーンを、3Dによる臨場感のある映像で再現。さらに2010年度に発売を予定している家庭用3Dシアターシステムでも、これらの映像によるオリンピック観戦ができるという将来の提案も行う。

そのほか、ハンクーバー市内やバンクーバー国際空港など1,900カ所に看板を配置するほか、バスのラッピングによる広告訴求も展開する。

また、アスリート応援ブログ「One Winter, Five Dreams」を11月2日から開設し、5人のアスリートとタイアップ。このブログの応援に貢献したパナソニック・ゴールド・サポーターをバンクーバーに招待する。

オリンピック会場ではフルHD・3Dが視聴できるシアターを開設

バンクーバーの市内や空港、バスで積極的に訴求

世界5人のアスリートを対象に応援ブログ「One Winter,Five Dreams」を2日からスタート

支援活動では環境の観点でも配慮しており、パビリオンの運営や観戦プログラム、省エネ型の機器の導入などにより、現地の各種活動で発生するCO2を416トンをオフセットするとしたほか、環境ビデオコンテストの公式パートナーとして、KWN(Kid Witness News)のノウハウを生かして協力する。

国内のマーケティング展開においても、バンクーバーオリンピックとのタイアップを積極化する。11月第2週末から量販店の店頭POPを、オリンピックバージョンへと移行し、薄型テレビ「VIERA」、BDレコーダー「DIGA」およびラックシアターとの連動提案による「ビエラにリンク!」を訴求するほか、バンクーバーオリンピック公式デジタルカメラであるLUMIXで撮影した画像をSDカードを介してVIERAを接続することで、動画も静止画もすぐに再生できる訴求も行う。

これらのテレビCMには、スキー・フリースタイルの女子モーグルの日本代表候補である上村愛子選手を起用。LUMIX編とラックシアター編が用意され、上村選手の実際のトレーナーである鈴木岳氏や、上村選手が教えたスキー教室イベントの生徒たちがそれぞれ登場する。テレビCMは、開催100日前にあたる11月4日からWebで公開。11月6日からはテレビでCMが放映される。

また、新聞広告では、開催90日前、80日前、70日前、60日前からそれぞれ使用される、上村愛子選手が登場した4種類のバージョンを用意。さらに量販店用POPでは、小雪さんや綾瀬はるかさんを起用したものが用意される。

量販店店頭でのVIERAなどの展示の様子

量販店店頭では小雪さんや綾瀬はるかさんの等身大のパネルも

カウントダウン型のスタンドPOPも用意される

LUMIXおよびVIERAリンクで展開する上村愛子選手の広告イメージ(画像提供: パナソニック)

開催90日前から順次展開される新聞広告

プロモーションで「オリンピック」という言葉が直接使えるのはパナソニックだけ。他社は「世界的スポーツイベント」ぐらいの表現しか使えない。この点で、オリンピックを活用した直接的訴求が行えるパナソニックは明らかに優位だといえる。

一方、パナソニックでは、ハイビジョン映像システムにおいて、オリンピックを支援するために、各種機器を納入する。

徐々に契約カテゴリーを拡大し、今回の大会からデジタルカメラまで幅を広げた

今回の大会で納入される機器の概要

過去の大会との比較。金額規模では過去最大になるという

15会場において29画面、延べ953平方メートルのLED大型映像表示装置「アストロビジョン」を納入。とくに、開閉会式会場であるBCプレイスにおいては、トリノオリンピックの1.4倍となるLED大型映像表示装置を納入する。また、17会場91システムのプロ用音響システム「RAMSA」を納入、約3,000台のテレビを配置するほか、北京オリンピックの約1.5倍となる17画面のDLPプロジェクターを納入。大会区域や市街地に約1,200台のAVセキュリティカメラを納入した。

BCプレイスに納入されるアストロビジョン

DLPプロジェクターは北京オリンピックの1.5倍の数になる

音響システムは女子フィギュアスケートの会場となるパシフィック・コロッセウムにも納入

セキュリティカメラの導入によって、大会運営安全を図る

放送用機器としては、デッキ160台、カメラ50台、モニター600台を納入。半導体メモリー・ニュース取材システムDVCPRO P2HDによるハイビジョン撮影を可能にした。バルセロナオリンピック以降、夏冬あわせて9大会目の公式記録フォーマットとして採用された。

DVCPRO P2が公式記録フォーマットとして、国際放送センターに納入

半導体メモリー・ニュース取材システムDVCPRO P2HDカメラ

メモリーカードポータブルレコーダー「P2モバイル」

マルチフォーマットライブスイッチャー

セキュリティカメラのアイプロシリーズ

プレスルームなどで利用される音響システム

さらに、HD映像コミュニケーションシステムをオリンピックで初めて採用。バンクーバーのオリンピック選手村と山間競技エリアであるウィスラーのオリンピック選手村を結び、ハイビジョン映像でのコミュニケーションを行えるようにし、臨場感あふれるビデオ会議も可能にしたという。

オリンピック初となるHD映像コミュニケーションシステム

映像の記録に用いられる半導体メモリーであるP2カード

「HD映像コミュニケーションシステムが海外で導入された初の事例となる。移動時間や交通にかかるコスト削減効果のほか、CO2の削減にも効果を発揮する」(パナソニックのF1・オリンピック推進室・布谷彰室長)とした。