先日、大手書店チェーンの米Barnes & Nobleから発表され、11月末の発売を待つばかりの電子ブックリーダー「nook」だが、米国のある電子ブックリーダー開発メーカーがnookを巡り、知的所有権の無断使用を理由に同社を訴えた。

11月2日付けで訴訟を起こしたのは米カリフォルニア州クパチーノに拠点を置く米Spring Design。Barnes & Nobleに対して同社の企業機密の濫用ならびに、両者間で交わされた守秘義務への違反を理由としている。Spring Designは、デュアルスクリーンとAndroidを組み合わせた電子ブックリーダー製品「Alex」を開発。2009年春に入りBarnes & Nobleと守秘義務契約の下でミーティングを重ね、Alexの機能についての詳細を公開してきたという。Barnes & Noble幹部らはAlexの機能を賞賛する一方で、nook発表までこれらの機能や特徴をコピーして発売する計画があることを知らせなかったというのがSpring Design側の主張だ。

Spring Designの「Alex」

こちらは「nook」

Alexは筐体上部に書籍閲覧用の大スクリーンがある一方で、下部に「Duet Navigator」と呼ばれる機能制御用の小型カラータッチスクリーンが搭載されている。このほか、滑らかな操作や各種メディアファイルの取り扱いのためにAndroidをOSに採用している。これら特徴はすべてnookと一致する。こうしたAlexで利用されている技術の数々は、2006年にSpring Designが同製品の開発を行った際に特許申請を始めているという。同社では電子ブック市場拡大のために書店パートナーとの提携を模索しており、Barnes & Nobleとの共同作業は電子ブックリーダー販売拡大を狙ったものとみられる。

同社販売マーケティング部門バイスプレジデントのEric Kmiec氏は「われわれは画期的なデュアルスクリーン端末を市場に投入するために信頼のうえでBarnes & Nobleに『Alex』を見せた。だが不幸にも、このAlexの権利を守るためにわれわれはしかるべき処置を執らざるをえなくなった。この問題を解決することで、電子ブック市場の拡大と成長に向けて歩み出すことができる」とコメント。なお、Alexは2009年内の発売を予定している。