以前本誌で紹介した、昆虫を電気信号で操るMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)研究者の佐藤裕崇博士が、最新の論文と動画を「Frontiers in Neuroscience」で公開している。
佐藤氏は、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)でMichel M. Maharbiz教授のグループに所属するMEMS研究者。「MAV(Micro Air Vehicle)」と呼ばれる超小型無人飛行機を、昆虫を使って創りあげる研究を行っており、世界で初めてマイコンによる昆虫の飛行制御に成功している。
氏の研究は、元々、アメリカ国防総省 国防高等研究計画局(DARPA, Defense Advanced Research Projects Agency)の「HI MEMS (Hybrid Insect Micro Electro Mechanical Systems)」というプロジェクトの1つとして開始された。当初はミシガン大学(University of Michigan)にて研究を行っていたが、現在はMaharbiz教授とともにカリフォルニア大学バークレー校に移り、国防高等研究計画局プロジェクトを外れて独自に研究を進めている。
今回の発表では、前回紹介した当時に比べて無線制御の精度が大きく向上。その動画が新たに公開されている。また、論文には、飛行経路を三次元的に解析した結果が掲載されているほか、飛行制御の成功率も算出しており、現在は「飛行開始」を96%、「飛行停止」を100%、「旋回」を80%の確率で制御できることが記されている。
論文、動画は、こちらのページからダウンロードできる。