ルネサス テクノロジは10月22日、同社の次世代マイコン「RXファミリ」の第2弾製品として、ビル管理(空調・照明・入退室管理)、FA機器などの産業機器や、OA(POS周辺)機器などにおいて、通信機能を必要とする用途向けに、通信機能を強化した32ビットフラッシュメモリ内蔵マイコン「RX62Nグループ」「RX621グループ」7品種/31型名を製品化したことを発表した。2010年1月から順次サンプル出荷を開始、サンプル価格は410円からとしている。
RXファミリは同社の次世代CPUコア「RX」を搭載したマイコンであり、2009年3月に第1弾製品が製品化されている。
"RX62Nグループ"および"RX621グループ"は、32ビットの「RX600シリーズ」の性能に加え、イーサネットコントローラ、USB 2.0およびCANなどを搭載しており、多様な通信機能が要求されるビル管理、FA機器などの産業機器間の通信や、OA機器間の通信I/F用途での高性能、高機能と小型化を両立可能な製品。
イーサネットコントローラには、32ビットRISCマイコン「SuperHファミリ」で用いられてきたイーサネットMACを採用。IEEE802.3u規格のMII(Media Independent Interface)、RMII(Reduced Media Independent Interface)に対応し、10M/100MbpsのイーサネットLANへ接続することができる。
また、USB 2.0は、同社の従来マイコン「H8Sファミリ」「H8SXファミリ」および「M16Cファミリ」などのUSBファンクションを搭載した製品と比べてデータ転送タイプの追加、多エンドポイント化などの機能強化や、従来のCISCマイコンでは非対応であったホスト機能の追加が図られている。加えて、176ピン版の製品ではUSBを2チャネル搭載し、それぞれのチャネルは独立に機能設定、動作させることが可能だ。これにより、機器の機能・性能向上や、外付けUSBデバイスの削減によるシステムの小型化、コスト低減が可能となる。
RXは、約1.65MIPS/MHzを実現しており、100MHz時165MIPSを達成。従来の32ビットCISCマイコンと比較し、同一動作周波数時に約2倍の性能向上を実現しており、プログラム処理を高速化することができる。また、コード効率(プログラムメモリ効率)も、従来品比で30%以上向上しており、オブジェクトプログラムのサイズ低減が可能となる。加えて、CPUのコア電流は100MHz動作時に約50mA(typ.)で、1MHzあたりの消費電流としては、従来製品比1/2以下を実現しているほか、4種類の低消費電力モードを用意しており、用途に応じた消費電力モードを組み合わせて使用することが可能だ。
このほか、プログラム格納用として、最大512KBながら100MHzでの1サイクルアクセスが可能な高速フラッシュメモリを内蔵。90nmプロセスと独自技術である「MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)」型の採用により、従来の32ビットCISCマイコンと比べ約2倍の高速動作を実現しており、高速動作時においてもCPUの性能を最大限に引き出すことが可能だ。
また、電源ダウン時に機器のステータス情報を保持するデータ格納用として、32KBのBGO(Back Ground Operation機能)付データフラッシュメモリも搭載。これは、プログラムの実行中でも、並行してデータの書き込みが可能なため、プログラムの実行速度を落とすことなくデータの書き込みができるのが特長となっている。