日本アイ・ビー・エムは10月21日、企業向けコラボレーション機能をパブリック・クラウド上で提供する「IBM LotusLive」ファミリーの新サービス群の提供を開始した。新サービスとは、コラボレーション機能を提供する「IBM LotusLive Connections V1.0」、Web会議機能を提供する「同 Meeting V8.2」、「同 Events V8.2」、両機能を提供する「同 Engage V1.0」だ。
同社のクラウド関連製品のポートフォリオは、「パブリック・クラウド」、「プライベート・クラウド」、「システム」という3つのカテゴリーについて、解析・コラボレーション・テスト/開発・デスクトップ・コンピューティング・ストレージという機能を提供するという構造になっている。
LotusLiveファミリーは電子メール、コラボレーション、Web会議という3つのサービスから構成される。電子メールサービス「LotusLive iNotes」はすでに9月から提供が開始されている。今回提供が開始されたサービスの内容は次のとおりだ。
- LotusLive Connections→ユーザーのプロファイル、プロジェクト/タスク管理、ファイル共有、インスタント・メッセージングなどのコラボレーション環境を提供
- LotusLive Meeting→Web会議、音声会議、ビデオ会議を統合したオンライン会議機能を提供
- LotusLive Events→LotusLive Meetingに加え、参加登録・プロモーションなどセミナー/イベント実施のための機能を提供
- LotusLive Engage→上記のコラボレーション機能とオンライン会議機能を同時に提供
ソフトウェア事業 Lotus事業部長を務める三浦美穂氏は、「LotusLiveは、これまでIBMが企業にコラボレーションシステムを提供してきたノウハウを生かした製品。きめ細かなアクセス制御、内部のモジュール間の連携、他のSaaSとの連携、Notesクライアント機能との連携など、他のコラボレーションサービスにはない付加価値を提供している」と、同サービスの特徴をアピールした。
同サービスには名称に「Lotus」が含まれているが、同社が提供するクライアント/サーバモデルのコラボレーションシステム「Lotus Notes/Domino」をアプリケーションとして用いるサービスは含まれていない。
デモンストレーションでは、ローカルのメールクライアントと同様にドラッグ&ドロップが利用できる様子、Salesforce.comからボタンを押すだけでLotusLive Meetingが利用できる様子、ファイル共有を行う際にユーザーおよび内容に対してアクセス制御がかけられる様子が披露された。
サービスレベルに対する補償は、大規模ユーザーの場合は個別交渉となるが、返金ではなく利用期間の延長で対応していく。
「競合サービスに対する同サービスの強みは何か」という記者からの質問に対しては、「会議の招集など企業を越えた連携が可能な点、ファイル共有時のアクセス制御がきめ細かな点、企業用と個人用の2種類のアドレス帳が持てる点、ローカルのメールクライアントと同様の操作ができる点など、企業利用に適した機能が豊富な点」という回答が得られた。
例えば、メンバーを会議に召集する機能においては、同サービス以外のユーザーにメールで案内を出して出欠状況を管理することができ、さらにマイクロソフトのメールクライアントであるOutlookのカレンダー機能にスケジュールを登録することも可能だ。
Google Appsといったサービスはコンシューマー利用が出発点なのでPeer to Peerのアーキテクチャだが、同サービスは企業利用を設定しているので異なるという。
価格は、LotusLive Connectionsがファイル配信者1名当たり1万6,800円/年から(ゲストユーザーは無制限)、LotusLive Meetingsが6万7,000円/年から(15名用オンライン会議室1部屋、会議主催者1名は固定で含まれる)、IBM LotusLive Eventsが13万5,600円/年から(最大999ユーザーまで)、LotusLive Engageは7万9,000円/年から(15名用、オンライン会議室1部屋+ファイル投稿者1名分)となっている。
LotusLive Connectionsでは、ユーザーから招待されたゲストユーザーというユーザーが設定されており、25MBまでのファイルなら無償で投稿することができる。